駐日アイルランド大使館 ブルームズデーと『ユリシーズ』刊行100周年を祝う

アイルランドとは、著名な文学者を輩出している国でもある。『ガリバー旅行記』を書いたジョナサン・スウィフトやオスカー・ワイルド、ノーベル文学賞を受賞したウィリアム・バトラー・イェイツ、ジョージ・バーナード・ショー、サミュエル・ベケット、シェイマス・ヒーニーといった4人の作家などが頭に浮かぶ。その中でもジェイムズ・ジョイスは特に有名だ。

6月16日は、世界中のジェイムズ・ジョイスの愛好家にとってとても大切な日、ジョイスの作品を記念するブルームズデーだ。これは、1904年6月16日に起こった出来事を描いた、ジョイスの小説『ユリシーズ』の主人公レオポルド・ブルームにちなんでおり、ダブリンを中心にして、多くの人々がこの日を祝う。この日は、ジョイス自身によってえらばれている。その理由は、後に妻となるノラ・バーナクルと初デートを楽しんだからだという。

カヴァナ駐日アイルランド大使
『ユリシーズ』第4挿話「カリュプソ」の朗読をする俳優ダンカン・ハミルトン

駐日アイルランド大使館で開催されたこのレセプションは、カヴァナ大使の粋な計らいもあって、あたかも100年前のジョイスが生きた時代に戻ったような時間と空間が創り出された。

ジョイスは音楽の才能にも恵まれ、ピアノの達人であり、ギターも上手だった。一時は音楽家を志していたこともある。1903年にはアイルランドのクラシック音楽コンクール「Feis Ceoil」でテノール歌手のジョン・マコーマックに次いで準優勝もしている。

ジョイスの若かりし頃に思いを馳せ、このレセプションでは、アイルランド出身の俳優ダンカン・ハミルトンによる『ユリシーズ』第4挿話「カリュプソ」の朗読、ジョイスの作品に関係のある有名な歌曲の演奏、女優櫻井明美による『ユリシーズ』第18挿話「ペネロペイア」の朗読が行われた。

こうした趣向を凝らしたプログラムの締めくくりには、『ユリシーズ』に登場する食べ物、飲み物から着想を得たメニューが用意され、参加者たちは心から「100年前のアイルランド」を楽しむことができた。

100年前のアイルランドをイメージしたメニュー

ジョイスの人気は今も衰えることはない。ジョイスが用いたユーモアは『ユリシーズ』を現代文学の最高傑作とし、今も世界中の読者を魅了し、多くの現代の作家たちに影響を与え続けている。

文化的に豊かな国、アイルランドは日本でとても大きなプロジェクトに着手しようとしている。7月には四谷で新しい「アイルランドハウス(大使館ビル)」の建設が始まる。このプロジェクトは、大変大規模であり、アイルランド外務省も力を入れている。残念ながら、カヴァナ大使はこの8月で任期を終え、帰国が決まっているが、引き続き外務省本省においてこのプロジェクトを見守るという。

今、アイルランドから目が離せない!これほど豊かな文化を持った国を、より深く知ってみたい。改めてジョイスの作品も読んでみたくなる。

駐日アイルランド大使館ホームページ内ニュース:【2022年、『ユリシーズ』刊行100周年】

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