豊かな発想によるキュレーションを楽しむ

じっくり見たい世界的名画の世界が大塚国際美術館にて開催中

徳島県の鳴門海峡に面した美しい自然に恵まれた地域に大塚国際美術館は建っている。大塚国際美術館は多くの人々が思い思いに過ごせる憩いの場所として、観光客、地元の人々にも愛され続けている。

大塚国際美術館の特徴は、約1000点の西洋名画を極めて正確に陶板で再現したことにある。原画を注意深く観察し、わずかな筆遣い、塗り重ねられた表現までも余すことなく再現されている。その技法は見事としか言いようがない。

また、名画が緻密に調査され、原画の姿そのままに陶板で原寸大に再現されているということは大きな利点でもある。鑑賞者は実際に名画の数々の傍に歩み寄り、顔を近づけて細部まで鑑賞することも可能だ。

しかし、この美術館の本当のすばらしさは、そのキュレーション力にあるのではないか。

世界各地の有名美術館に所蔵され、決して一緒に観ることはできない名画の数々も、この美術館ではテーマにそって展示され、詳細に見比べることができる。

「受胎告知」のテーマに沿った作品の数々も一つのスペースに展示されている。フラ·アンジェリコ、レオナルド·ダ·ヴィンチなどの世界の巨匠による同じテーマで描かれた作品が、一堂に展示され、どの作品も間近で手に取るように見比べることができる。

ロンドンのナショナル·ギャラリーとルーヴル美術館にそれぞれ所有されているレオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」もここでは隣同士に展示されている。「こうやって見るのが夢だった」と思わず口にしてしまう美術ファンはきっと多いはずだ。

ゴッホの「ヒマワリ」さえも、ここでは同じ展示室に集結している。その展示の様子は圧倒的であり、ゴッホの絵画の変遷とこの心の動きさえも見ることができる。ブリューゲルの「バベルの塔」も、ここではその詳細までも間近で見ることができる。改めて「バベルの塔」は生活の場でもあったことを知った美術ファンも多いはずだ。

大塚国際美術館は、美術史を学んだ人にとっても、美術ファンにとっても、素晴らしく楽しく、一日が過ごせる美術館だ。また、子どもたちにとっては、教育の場でもある。この美術館を訪れた子どもたちはきっと名画のすばらしさを体験することによって知ることだろう。

この美術館で多くの名画に囲まれながら、過ごすひと時は、多くの人々にとって「至極のひと時」に違いない。名画鑑賞に疲れたら、スイレン(6月中旬~9月が見頃)を見ながら、併設のカフェ「カフェ・ド・ジヴェルニー」で一休みも素敵だ。

大塚国際美術館は大塚グループが創立75周年を記念して、「大塚グループが生まれ育ててもらった鳴門市に恩返しをしたい」という思いをこめて作られたという。その後、徳島のみならず、日本中のみならず、世界中から多くの人々がこの美術館を訪れている。

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