私は浜っ子!サーブル·エシムベコフ大使に独占インタビュー
「さぶやん」と呼ばれた留学生時代。完璧な日本語とビジネスセンスでカザフスタンの魅力を伝える。
サーブル·エシムベコフ駐日カザフスタン大使
大使の略歴と経歴
私はソ連時代にカザフスタンの首都アルマティ市に生まれ育ち、高校卒業後にモスクワ国立国際大学で日本語を学びました。1991年にソ連が崩壊し、カザフスタンは独立国家となりましたが、私は以来、日本と緊密な関係にいます。
1996年に、横浜大学の修士課程を修了し、外交官となった私は、当年東京で在日カザフスタン大使館の登録に携わった経験もあります。2000年からは、国営企業やカザフスタン商工会議所の会頭などを務めながら、昨年大使に任命されるまでの10年間程、カザフスタン日本経済委員会の共同会長を務めていました。このように、私は過去25年間にわたってカザフスタンと日本の協力関係にあらゆる場面で携わってきました。
そしてこの度、一年ほど前となりますが、在日カザフスタン大使に任命されました。私はこのミッションを大変光栄と思い、身が引き締まる思いがいたしました。今後、両国の関係を更に深めていくため、真剣に取り組んでいきたいと思っております。
日本とカザフスタンとの関係
カザフスタンは昨年独立30周年を迎えました。日本は我が国の独立を最初に承認した国の1つです。現在、両国の関係は戦略的なパートナーシップ·レベルにあります。政治・外交分野だけなく、経済・貿易、または文化、教育、人的交流といった様々な分野において、協力関係が緊密です。
現在は、両国間には、ハイレベルな相互信頼とそれに基づいた政治的対話が確立されています。首脳レベルでの会談、政府間関係、並びに両国の国会間での交流も積極的に進んできており、両国の国会において、友好議員連盟も設立されています。また、教育、文化などの面での交流も活発です。
カザフスタンと日本の間には、政治的にも、歴史的にも、地理的にも、何の問題もなく、極めて友好的な協力関係にあります。こうした様々な分野における交流を更に深めていくことに、今後も力を入れていきたいと思っております。両国の関係を、真の戦略的なパートナーシップ·レベルに相応しくしていくために、更に発展させていく所存です。
また、カザフスタンと日本は、両国の関係だけではなく、共同で国際社会の安定・安全にも貢献できると確信しております。今後はさらに、様々な分野における両国の関係並びに国際社会における協力関係をより深めていくことを、日本に期待したいと思います。
カザフスタンは、中央アジア全体の持続可能な経済成長と、産業の発展を果たしていくことに念頭に置いており、それを実現すべく、日本と具体的なプロジェクトを実施していくことを期待しています。
日本は「中央アジア+日本」という多国間対話の枠組みを創設した最初の国です。今年は東京において「中央アジア+日本」という対話のための外相会合が開催される予定もあります。そのアジェンダでは、貿易、経済、投資、人道的交流の強化に関する具体的な会談が行うことです。
また、様々な国際機関の枠内で、多国間協力も積極的に発展しています。なお、日本は定期的に、カザフスタンと共に多くの国連決議などの共同提案国となっており、平和、繁栄、安定を確立することを目標として、両国のイニシアチブや提議を支援しています。
以上のような両国にとって重要な分野においては、または国際社会において今後も日本との協力関係を深めて行けたらと思っております。
外交関係樹立30周年を迎えるカザフスタンと日本ですが、両国の関係の歴史においてはとても重要な節目にあります。新型コロナ感染拡大によって引き起こされた困難を一緒に乗り越えて、この節目の年に、様々な分野において、様々なレベルで共同イベントなどを開催してまいる所存です。
二国間の貿易交流
経済協力においては、日本は1993年からカザフスタンに合計77億ドル以上を投資しており、これはカザフスタンに対する最大級の投資を行っている国家の一つと言えます。現在カザフスタンには、商業、運輸、情報技術、通信、保健、不動産などの分野で、50社を超える程度の日系企業が進出しています。
両国間の貿易額は、毎年15億ドルを超えています。新型コロナ感染症が蔓延し、グローバル・サプライ・チェーンの混乱が発生している中であっても、カザフスタンは投資家や輸入業者にとって、安定した長期的なパートナーになるポテンシャルを持っています。原料の分野だけでなく、製造業における世界有数の大企業が現地生産国としてカザフスタンを選択しています。
カザフスタンは、石油やウラン、レアメタルや非金属、またその他のミネラル資源だけに限らず、広大な沃土にも多く恵まれています。日本は、投資、産業及び技術分野などにおけるポテンシャルが高い国であることから、カザフスタンとしては、これらの分野などにおける両国の関係を強化させていきたいと考えています。
現在カザフスタンと日本の間に租税条約、投資協定と原子力平和利用条約が締結されておりますが、官民の要請を踏まえ必要性に応じて両国の間の法的基盤を更に強めていく方針です。
観光
カザフスタン共和国はユーラシアの中心に位置し、世界9番目に大きい国です。同時に世界最大の内陸国でもあります。
カザフスタンの自然は魅力的です。エメラルドの谷には、美しい湖、ステップ、山の風景が見られます。カザフスタンの草原は広く、高い山もたくさんあります。天山山脈には、タラスキー・アラタウ山(高4,488m)、ザイリスキー・アラタウ山(高4,973m)、ハン・テングリ山(高7,000m)などの高い山が連なっています。
貴重な動物も多数見られます。レッドブックに記載されているマヌルネコ、ガゼル、アルガリ、オオヤマネコなどの哺乳類を始め、約50種の希少な動物が存在しています。
アスタナやアルマティなど、カザフスタンの主要都市は、印象的な建築と広々とした公園で知られています。古代都市トルキスタンは、重要な観光地でもあり、宗教指導者や詩人として知られているホジャ・アフメド・ヤサビの世界遺産に登録された廟があります。
カザフスタンには多くの国立公園と自然保護区があり、西にはカスピ海があります。大陸性気候のカザフスタンを訪れるなら、冬は寒く、夏は暑いので、比較的穏やかな4月~6月と8月~10月までがお勧めの時期です。
2014年以降、日本国籍をお持ちの皆さんは、ビザなしでカザフスタンを訪れることができるようになりました。ぜひとも、この機会を利用してはHersey、およびTokyo Weekenderの読者の皆さんをカザフスタンにお招きしたいと思います。
カザフスタンの文化とスポーツ
カザフスタンでは、スポーツや体育、課外活動といった活動が熱心に取り組まれています。カザフスタンはオリンピックのレスリングやアイスホッケー、重量挙げ、陸上、サイクリング、ボクシングといった競技で優秀な成績を収める選手を数多く輩出しています。そして最も人気のあるスポーツの一つはサッカーです。
カザフスタンから多くのプロ·ロードレース選手がヨーロッパの自転車競技大会に参加しています。最も有名な選手はアレクサンドル・ヴィノクロフであり、彼はパリ〜ニースの2大会で好成績を挙げた選手です。
カザフスタンはウィンター·スポーツにも熱心な国でもあります。2011年には冬季アジア大会がアルマトイとアスタナ(当時)で開かれました。
女性の社会進出
カザフスタンの女性の就業率は、現時点で約6割以上です。労働力人口の増加もあり、女性活躍の推進はカザフスタンの政府の喫緊の課題の一つです。女性が活躍する社会実現のために、女性が活躍するには出産・育児と仕事のバランスが取りやすくなるように、法律や制度を整えていく必要があります。現在カザフスタン政府は、ジェンダー政策を効果的に実施するための制度的および規制的枠組みを作成しました。
国家レベルで、社会の生活のすべての分野で男女平等を確保するために、カザフスタン共和国大統領の下で女性、家族、人口政策国家委員会と言ったジェンダー政策の機関が設立され、機能しています 。
政治における女性の役割には特別な注意を払っています。現在のカザフスタン国会における女性の割合は、20.4%に達しました。さらに、公務員女性の割合も55%となっています。
ジェンダー平等が国家全体の競争力に影響を与える可能性があるという認識の元でカザフスタンはこれからも女性の活動率を高めるためにあらゆる対策を取っていく方針です。
将来のビジョン
カザフスタンにとって日本は、最も重要なパートナー国であります。両国の関係は現在、戦略的なパートナーシップレベルにあります。政治・外交分野だけなく、経済・貿易、または文化、教育、人的交流といった様々な分野において協力関係が緊密です。
カザフスタンと日本の間には、政治的にも、歴史的にも、地理的にも、何の問題がなく、友好的な協力関係にあります。これらの様々な分野における交流を更に深めていくことに今後も力を入れていきたいと思っております。両国の関係を真の戦略的なパートナーシップレベルに相応しく更に発展させていく考えです。
戦略的パートナーシップとは、あらゆる分野での協力関係が相互的で、両国の国益に叶った関係という意味です。また、カザフスタンと日本は、両国の関係だけではなく、共同で国際社会の安定・安全にも貢献できると確信しております。つきましては、様々な分野における両国の関係並びに国際社会における協力関係を今後も深めていくことを日本に期待したいと思いますし、我々としても日本の期待に応えて行きたいと思っております。
カザフスタンは、競争に最も強い50カ国の中に入ることと、経済を多様化させていく計画がありますが、その観点からも、日本の企業などをカザフスタンの輸出向けの製品を生産する製造分野、先端技術導入分野やインフラ分野などに進出してほしいと思います。