水木しげるの妖怪 百鬼夜行展

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 〜お化けたちはこうして生まれた〜

■会期 2022年7月8日(金)〜9月4日(日) ※会期中無休
■会場 東京シティビュー 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階

水木しげるの生誕100周年を記念し、現在、その妖怪世界をひもとく集大成ともいえる展覧会が六本木ヒルズ森タワー 東京シティビューで開催されている。

水木しげるは大阪で生まれ、鳥取県境港市で育った。境港市には水木しげるを記念した美術館があり、中心には「水木しげる」ロードが通る。そのロードの両脇には水木しげるの作品に登場するブロンズ像が並ぶ。この展覧会のエントランスでも同じ妖怪たちが来館者を出迎える。東京シティビューの窓から見える東京の壮大な景色と相まって、素晴らしい光景が広がる。

『ゲゲゲの鬼太郎』でもお馴染み、児啼爺(子泣きじじい)
『ゲゲゲの鬼太郎』でもお馴染み、児啼爺(子泣きじじい)

「第一章:水木しげる」の妖怪人生では、幼少期にであい、水木を妖怪の世界へとみちびいたともいえる「のんのんばあ」との出会い、左腕を失うほどの重傷を負い、生死をさまよったパプアニューギニアでの従軍体験などが語られている。

「第二章:古書店妖怪探訪」には、水木しげるが集めた書籍、資料が展示されている。この章では、いかに水木しげるが妖怪について研究していたがよくわかる。水木しげるは江戸時代の絵師、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」などの妖怪に関わる資料を集め、民間伝承、民話、各地に伝わる妖怪の話を調査している。続く「第三章:水木しげるの妖怪工房」とこの章で、鑑賞者はみな「水木しげるは妖怪を創造していたわけではない」ということに気づくはずだ。水木作品に出てくる妖怪たちは、いずれも昔から日本の各地に暮し、時に人々と触れ合ってきた。

『画図百鬼夜行』 水木しげる蔵
『画図百鬼夜行』 水木しげる蔵

「第四章:水木しげるの百鬼夜行」は圧巻だ。「山」「水」「里」「家」に棲む妖怪を描いた作品が展示されている。その作品には水木しげるが各地から集め、掘り起こしてきた妖怪が描かれている。いずれの妖怪もそれぞれが暮らす山、水、里、家の環境の中に描かれている。妖怪とともに、細かく描かれた妖怪を取り囲む環境の描写は余りにも素晴らしい。これが水木しげるの世界であり、まさに「百鬼夜行」そのものだ。

人に砂をふりかけるという妖怪、砂かけ婆
人に砂をふりかけるという妖怪、砂かけ婆

この展覧会を見て、水木しげるは漫画家であると同時に、民俗学研究家であり、現代に妖怪をよみがえらせた現代の「絵師」であるという印象を抱いた。現代に描かれた「百鬼夜行」を是非とも鑑賞していただきたい。

コラボレーションカフェ「妖怪の森Café」も期間限定で登場。

水木しげるの作品に登場する妖怪たちがカフェメニュー!

期間限定オープン「妖怪の森Cafe」の特別メニュー
期間限定オープン「妖怪の森Cafe」の特別メニュー

見て楽しく、食べておいしいCafeメニューはこの夏のおすすめ。

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 公式HP

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