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角田裕樹、F1残留可能か

F1の残念なフルスイング?次期F1”スーパースター”オスカー・ピアストリに注目が集まる中、F1の“問題児” 角田裕毅の将来は不透明なまま

スクーデリア・アルファタウリ (S A T) のチーム代表であるフランツ・トスト氏は、角田裕毅が「聖なる子」よりも「問題児」であることに好印象を表している。「問題児」という表現は角田にぴったりの表現であるのはさておき、同じくアルファタウリ所属のピエール・ガスリーの2023年残留が既に確定したため角田の残留が疑問視されている。

2021年の初めに F1に参入して以来角田は、将来のF1世界チャンピオンになる可能性があるというジュニア・カテゴリーでの評判に応えようと奮闘してきた。

「裕毅は必ず世界チャンピオンになると確信している。」と、フランツ・トストは2021年の初めにドイツのメディアに語った。それからというもの多くのF1専門家は、フランツ・トストが考えを改めたに違いないと信じてきた。

ハンガリーのハンガロリンクで開催されたF1グランプリを初日19位で終えた角田裕毅
ハンガリーのハンガロリンクで開催されたF1グランプリを初日19位で終えた角田裕毅 (Photo by Peter Fox/Getty Images)

角田はルーキーシーズンで、あまりにも多くのミスを犯し、高額負担になるクラッシュ、予選のパフォーマンスの低下、その結末とも言えるレースのパフォーマンスをもたらしたが、最初のF1シーズン終盤に向かうと調子を取り戻して、アブダビでのシーズン最後のGPでは4位を記録したが、フォーミュラ1での2番目のシーズンは、最初のシーズンと同様にコストのかかるミスや、チームラジオでの失言が起こった。

どん底ピークとなったのは、イギリスGPでのピエール・ガスリーとの接触事故だ。角田はすぐに謝罪したが、カナダG Pでのピットレーンを出る際の単純なドライビングミスや、ハンガリー G Pでの最下位 (19 位) でスピンしたことが、現在の残留未定の原因となっている。

今シーズン変更されたF1のテクニカルレギュレーションによって苦しめられるスクーデリア・アルファタウリは、チームの戦略ミス、ドライバーの途中棄権、AT03の単純なパフォーマンスの悪さは、角田の成績をサポート出来ていない。これにより、2021年のコントラクターズチャンピオンシップで5位を達成するという歴史的な機会を逃したことは、チームとドライバーの両方にとって痛手であり、残念な結果であった。

現状、角田は最大の支援者であるフランツ・トストの厚い信頼を受けているが、トストは「クラッシュは別にして、彼が同じようなパフォーマンスを続ければ、我々と一緒にいるチャンスは十分にあると思う」とし、「(残留は)彼次第だ。彼が良いパフォーマンスを見せれば残留するだろうし、良いパフォーマンスを見せなければアウトだ。簡単なことだ。」と契約延長の可能性が高いことを示唆した。

アルファタウリチーム代表のトスト、ハンガロリンクでの記者会見にて
アルファタウリチーム代表のトスト、ハンガロリンクでの記者会見にて (Photo by Dan Mullan/Getty Images)

また、「彼は大きく成長を遂げている、彼は良い仕事をしているが、特定の状況では自分自身をコントロールしなければならず、より規律を保つ必要があり、シーズン後半にそれが見られるだろう。」と角田がまだまだ成長過程であることと「問題児」への期待を語った。

トストの信頼に成績で応えるように、角田の成績は予選・レーストリムでチームメイトのピエール・ガスリーに近づいているようだ。ポイントに関しては、より経験豊富なガスリーが僅か8セッション、予選を5セッションでリードし、角田の11ポイントに対して16ポイントを保持している。

トストは「F1で実力を示すためには3年間の期間が必要と考える。なぜなら、若いドライバーにとって、最初のシーズンで結果を残すことは難しいからだ。」と角田の3季目に期待を寄せる。

ピエール・ガスリーが成績ではリードしているが、今シーズンは角田がガスリーに追いついている。
ピエール・ガスリーが成績ではリードしているが、今シーズンは角田がガスリーに追いついている。 (Photo by Peter Fox/Getty Images)

しかし、レッドブルが所有するF1チームで角田裕毅に3度目のチャンスを与え残留の決定を下せるのはトストではない。

現状、角田はまだ2023年の契約を結んでおらず、残留確定であればオーストリアGP期間に何らかの動きがあってもよかった筈である。このことからも、角田の現在のポジションは弱い以上のものであり、チーム内の有力者を納得させるためにも、ベルギーG P、そしておそらくオランダG Pでも強力なパフォーマンスを見せつける必要があるだろう。

よく言えば、角田裕毅のF1キャリアへの鍵は、まだ彼自身の手の中にある、と言えるだろう。

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