ウクライナ支援:チャリティコンサート・レセプション
ウクライナの惨状に心を痛める人は多い。ジョーン·ミッチェル·ファン·デル·フリート駐日オランダ王国大使夫人と、NY出身のチェロ奏者である橋本ジェシカもその一人だった。
祖国を離れ日本で暮らす彼女達は、「小さくともウクライナのために尽くしたい」という気持ちを日本人の友人、大岩弘子に伝えた。彼女もまたウクライナのために何かしたいと強く願っていた。彼女は、自身が所属する千代田キワニスにその支援を求め、会長の澤井敏子と、副会長の徳川孝子を二人に紹介した。二人はウクライナ支援のためのチャリティー開催の意向をキワニスメンバーに伝え、合意を得る。更に、音楽の力を借りるべく、日本クラシック音楽連盟会長の入山功一にも相談を持ち掛ける。入山氏の支援を受け、今最も人気のあるチェリスト佐藤晴真と、ピアニストの大伏啓太も参加し、芝学園講堂にてチャリティコンサートが開催されることとなった。
千代田キワニスクラブのメンバーは、自作のチラシ、チケットを手に、友人や知人にこのチャリティー活動への賛同を求めた。ジョーン・ミッチェル駐日オランダ王国大使夫人は、オランダ大使公邸でのレセプション開催の為準備を開始した。彼女等の活動とその志は外務省関係者へも届き、林優子外務大臣夫人、ウクライナ議員連盟会長を務める森英介衆議院議員、駐ウクライナ日本大使の松田邦紀夫人の賛同を得ることになる。
ウクライナに心を寄せる人々が、正に「手作り」で準備した今回のコンサートとレセプション。用意された230枚のチケットは、20名の女性等によって販売されたが、たった4日で売り切れとなった。こうして3週間という短い時間で準備されたチャリティーコンサートとレセプションは、4月3日に開催された。生憎の雨模様であったが、多くの来場者が集まり、コンサートのチケット収入の他にも多くの支援金が寄せられた。
コロナ禍での開催にあたり、ワールドカップ、オリンピックなどを運営した経験も持つジョーン夫人のアイディアを受け、コンサートを挟んで、レセプションは2度に分けて開催された。また、ジョーン夫人の呼びかけに応じた各国大使夫妻も支援に駆け付けた。
コンサートでは、佐藤晴真が心を込めて熟考した素晴らしいプログラムを披露した。アンコールでは、かつて世界国際平和デーにパブロ·カザルスが国際連合本部で演奏した『鳥の歌』が選ばれた。この曲は、カザルスが「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は peace、peace (平和、平和)と鳴くのです」と、平和への願いを込めて編曲・演奏したという。また、日本在住の作曲家で、橋本ジェシカのピアニストを務めるサイモン·ベストンはこの日の為に、ウクライナ国歌を2台のチェロとピアノ向けに編曲し、佐藤晴真、橋本ジェシカ、サイモン·ベストンが演奏した。
短い準備期間だったこともあり、当日は多少の混乱もあったが、それでも今回のチャリティーイベントは大成功を収め、総額238万5951円もの支援金を集めた。このチャリティーを開催するにあたって、主催者の女性達は「弾丸や戦車を買う為でなく、薬、食料を買うために使ってほしい」とその信念を語った。今回の支援金は全額、彼女たちの信念の下厳選された各機関を通じてウクライナの女性と子供たちの支援に使われる。
【今回のチャリティーイベント支援金の寄付先一覧】
京都市(キーウ市の姉妹都市)
このチャリティーによって、改めて学んだ事がいくつかある。それは「誰かの為に働くことの大切さ」だ。また、そう思う気持ちを声に出す勇気も必要だ。確かに、このチャリティーから得られた金額は、世界的に見れば少額かもしれない。しかし、市井に暮す人々がお互いに手を取り合った時、大きな力を発揮することを誰もが感じることができた。
仮に武力で領土を侵略できたとしても、人の心まで侵略することはできない。 ウクライナに平和が戻ることを心から祈りたい。世界が平和であることを改めて祈りたい。
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