画家として 「私の作品作り」 インド大使夫人 グンジャン·ヴァルマ

世界中を舞台に働く外交官と、その家族は多くの海外生活を経験しなければならない。そのような環境の中、夫人たちが現地の芸術に触れ、心を動かされることも多い。

サンジェイ·ヴァルマ駐日インド大使のグンジャン·ヴァルマ夫人は、画家としても活動する。夫の赴任に伴って訪れた国々で、現地の芸術に触れ、インスピレーションを得て自らの制作活動に反映させているという。

以下、グンジャン夫人がベトナム・ハノイ滞在時に行った制作活動について語る。

「ベトナムの綿花摘みの人々」2000年制作
「ベトナムの綿花摘みの人々」2000年制作

私達がベトナムのハノイに住んでいた2000年頃に漆絵を制作し始めました。ベトナムの絵画や、有名な水上人形劇からも見て取れるように、農業が文化のバックボーンを築いています。

初めて描いた漆絵は、ベトナムの綿花摘みの人々です。人々とその服装、綿花摘みのための道具を強調して描きました。

漆は茶色と黒色しかありません。そのため、綿花の部分は最初に溝を彫って漆を入れ、洗って乾かした5ミリ程度の卵殻を圧着させ、それからやすりをかけました。すこしずつ漆を塗っていくという作業を繰り返したことで、作品の強度を上げていきました。

「この作品では、綿花を入れる籠の輪郭を細い漆の線で描き、研磨して、銀と金箔を貼ってあります。さらに籠の部分に漆をかけ、金箔の色を和らげました。」駐日インド大使夫人 グンジャン·ヴァルマ
「この作品では、綿花を入れる籠の輪郭を細い漆の線で描き、研磨して、銀と金箔を貼ってあります。さらに籠の部分に漆をかけ、金箔の色を和らげました。」駐日インド大使夫人 グンジャン·ヴァルマ

この作品は、インドの有名な物語「マハバルタ」の中でも有名なクリシュナがラダとその友人を監視している場面を描いています。最初に画稿を作成し、それに沿って漆が入るように彫りを入れ、着色用の漆で塗装しました。この作品には、ベトナムの一般的な絵画で見られるよりも多種の顔料を使用し、人物を際立たせるために金箔もふんだんに使い、仕上げに漆を塗ってあります。

温暖な気候で湿度が低ければこうした工程は3か月ほどで完了しますが、乾燥し過ぎている場合は困難を極めます。アクリル、油彩、漆、水彩、スケッチ、水墨等の他にも、日本で学んだ日本画のスタイルも加え、今後も作品制作に挑戦してまいります。

グンジャン·ヴァルマ

インド大使館HPはこちらから

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