中東で初めてFIFAワールドカップ開催 話題のQatarを知ろう!
ハッサン・ビン・モハメド・ラフィー・アル・エマーディ駐日カタール大使に緊急インタビュー
Q: 大使閣下のキャリアについてお話しいただけますか。
私は1979 年にカイロ大学を卒業し、その後、1980 年にカタール外務省に入りました。それからは多くの役職を歴任いたしており、また、多くの国際会議にも参加しています。
外交官としては、2001 年から 2003 年までイスラマバードに駐在し、2003 年から 2005 年まではカイロに駐在いたしました。その後、2018年8月に駐日大使に着任した次第です。
Q: 基本的な質問ですが、カタールについて教えていただけますか。 日本人にはとても豊かな国というイメージがあります。 カタールの市民にはどのような優遇措置がありますか?
カタールは、アラビア湾を見下ろせる南西アジアのアラビア半島の東に位置するアラブ湾岸の国です。ご存知の通り、首都はドーハです。 1971 年に英国から独立しましたが、19 世紀半ばからアル サーニ家が権力の中心にあります。
カタールは、世界で 3 番目に大きい天然ガス埋蔵量と、13 番目に大きいとされる確認済みの石油埋蔵量に支えられており、1 人当たりの所得が最も高い国でもあります。 国連は、カタールは人間開発指数が高く、その分野では最も進んだアラブ諸国の 1 つとしています。その為、カタールは非常に人間開発が進んだ国として分類されています。 また、カタールはアルジャジーラ·ネットワークを所有しています。皆さんもご存知の通り、このメディアは世界的に成長を続け、拡大しているグループです。 そのようなことからもカタールは中東の主要国であると申し上げらるでしょう。
カタールに居住するカタールおよび湾岸諸の国民には所得税は適応されておりません。 カタールの所得税は、特定の例外を除き、個人の収入源に基づいて課されます。 企業の場合、税率は会社の総収入の 10% で固定されており、これは毎年支払われます。
カタールの教育と医療は、すべての国民に無料で提供されています。 すべての子どもは、幼稚園から高校まで無償で教育を受ける権利を持っています。
電気と水道は、カタール市民が最初に購入した家に限って無料ですが、カタール人が複数の家を所有している場合はそのサービスに対する料金を支払います。 電気料金の60%は 補助され、居住者は電気料金の 40% を負担するシステムになっています。
Q: なぜカタールはそれほど豊かなのでしょうか。
カタールには膨大な量の天然ガスが埋蔵されており、液化天然ガス (LNG) の世界最大の輸出国の 1 つです。 カタールのガス埋蔵量は 900 兆立方フィートに達し、世界の総埋蔵量の 14.4% を占めております。これは世界で 3 番目に大きい埋蔵量となっています。 また、カタールは約 2,500 億バレルの石油を保有しており、これは今後 100 年間に十分な量です。
カタールが有する富裕財産は、世界中で事業と投資を強化している主権者であるカタール投資庁によって賢く使われています。国のエネルギー埋蔵量と政策の安定した見通しは、マクロ経済の安定度を反映しており、カタール国家「ビジョン 2030」 の傘下で経済の変革に資金を提供することに役だっています。
Q: この度、中東初の FIFA ワールドカップが開催されました。 カタールがワールドカップを開催することを決定した理由についてお知らせいただけますか。
FIFAワールド カップは、もはや娯楽や娯楽のための単なるサッカーの試合という存在ではありません。文化、人々と文明間の対話、異なる人種間のコミュニケーションの世界的に提示する機会になっています。 カタールは、何十年にもわたってアラブ人、イスラム教徒に向けられてきた誤解、否定的な固定観念を正すために、サッカーの歴史の中で初めて、アラブの、イスラム教徒の国として、中東でFIFAワールドカップを開催することを決定しました。
カタールは、アラブとイスラムの土地に世界のすべての人々を集め、他の人々とのコミュニケーションと相互作用の機会を提供し、共存、寛容、理解の原則を促進し、だれもが伝統と文化をみつけだすことを促せることを望んでいました。カタールの人々、そしてカタールのアイデンティティと言われるすべての要素を紹介すると共に、アラブとイスラム文明を紹介することを目的としておりました。
FIFAワールドカップのチャンピオンシップからの直接的な経済的利益もありますが、それに加えて国のインフラストラクチャの開発に貢献するなどの間接的な効果がありました。これもFIFAワールドカップの開催を決定するに至ったもう 1 つの理由でもあります。
Q: この度のワールドカップは、これまでで最高額の投資をしたとお聞きしました。 施設・設備にはどのようなものがありますか?
過去 10 年間のカタール国のインフラへの支出は、2,300 億ドルに達しています。 カタールのインフラへの支出のほとんどは、FIFAワールド カップ開催と同時に開催された「カタール·ナショナル·ビジョ2030」の枠組みの中で行われたものです。 一般に、「ビジョ2030」の達成とFIFAワールド カップ開催にいたる枠組みの中で、カタールのインフラへの支出は戦略的支出だったと言えます。 インフラへの投資はFIFAワールドカップの競技会の終了後も継続され、更に数十年にわたって投資されて行きます。 これは、国家の一般予算の資金調達を行う上での石油とガスからの収入への依存を減らすという政府のアプローチをサポートしています。
将来の国際的および地域的なスポーツイベントの開催を容易にする最も豪華で近代的なスタジアムを建設することに加えて、最も重要なプロジェクトには以下のような事柄が含まれます。
新しく近代的な輸送施設の確立と開発による輸送セクターとしては、「レール」というドーハの地下鉄があります。この「レール」は、更にルサイル市と教育都市に電気バス、トラム システムの新しい経路を設けています。
また、ハマド国際空港の拡張により、1 日 1,300 便のフライトが発着し、5,000 万人の乗客が利用できるようになりました。 他には再生可能エネルギー(太陽エネルギー)を利用することによる環境保護への貢献、再生水で灌漑された新しい庭園の建設、公共バスを電気バスに置き換えることによって大気汚染を減らすことに関連したプロジェクトがあります。 一方、ホスピタリティ部門においては、そのセクターに関連するインフラは整備されており、ホテルやリゾートの数は何倍にも増加しています。
実際、これらの構造による経済的影響は、何十年にも亘ってその経済的結果を残していくことでしょう。
Q: カタールもサッカー選手の育成に力を入れていますが、 それにはどのようなプログラムがありますか?
カタールではサッカーという競技は比較的新しいとされています。そのため、2022 FIFA ワールド カップ開催に向けて、いくつかの印象的とも言えるサッカーへの「偉業」を達成してきました。カタールは実にサッカーに熱心に取り組んでおり、2004 年には「アスパイア·アカデミー」を設立し、ここで将来有望な世代を育て、運動能力のある学生にスポーツ トレーニング、リハビリ、教育を提供しています。
「アスパイア·アカデミー」は世界中でのカタールのサッカーの地図を変えたと言える選手を育て、代表チームを構成するにいたりました。 過去数年にわたり、「アスパイア·アカデミー」はカタールのサッカーに新たな次元を示すような才能のある世代の選手を輩出し、その歴史にその選手たちによる金字塔をたてたともいえます。
「アスパイア·アカデミー」の卒業生は、2014 年にアジア·ジュニア選手権で優勝したカタール·チームの主力となりました。また、2006年にドーハで開催されたアジア競技大会ではカタール代表チームは金メダルも獲得しました。「アスパイア·アカデミー」の卒業生のうち 15 人が 2019 年アジア ネーションズのタイトルを獲得したチームに参加し、19 人の選手がカタール ワールド カップ 2022に出場しました。
Q: 今後、オリンピックを開催する予定はありますか?
2022 年 FIFA ワールド·カップ·カタール大会の開催において、カタールが大きな成功を収めたことを受けて、2036 年にドーハでオリンピックを開催するという決意はさらに強まりました。 また、将来的には多くの権威あるスポーツ大会を開催する予定です。
Q: カタールには、カタール国立博物館をはじめとする素晴らしい文化施設があり、ドーハの近代的な建物も観光客を魅了しています。 カタールの最新の観光、食、文化についてお知らせください。
カタール国は観光を優先事項としており、とても重視しています。近い将来、世界中の観光客に愛される観光地になることを目指しています。過去 20 年間、カタールは国内の観光地の多様化を目指してきました。 伝統的な観光スポットであるスーク·ワキフの復活、文化地区 (カタラ) の設立、最終的にカタール国立博物館の開館は、観光の文化的側面に対する国家の熱意を示す最大の証拠と言えます。
カタールはまた、砂漠でのキャンプを楽しむという提案をすることで、自然愛好家の関心を引くこともいたしています。ショッピング·ツーリズムはまた、いつも際立った位置を占めていると言えます。その為に、カタールショッピングフェスティバルを毎年開催する熱意もあり、この分野を支える大手ショッピングモールもあることから、国内の観光を促進することを目的とした多くのフェスティバルやイベントも開催するに至っています。
カタール国立博物館は、その建築に伝統と現代の包括的なデザインが組み合わされていることからも、カタールで最も著名な文化的ランドマークと見なされています。
「パールアイランド(真珠島)」はまた、多くの人工の島々で構成されており、カタールで最も美しく、最高の観光名所とも言えます。
カタラは国内の観光地であるだけでなく、カタールの文化運動を促進することを目的とした文化の中心地でもあります。殆どの知識人や芸術家が集まる場所であり、フェスティバル、展示会、セミナー、コンサートを通じて文化的意識を高めるためのセンターとしての役割も持っています。
カタールの豊かな文化と遺産、人々のおもてなし、世界各国料理やレストランが集まり、おいしい食事をたのしめることも、カタールを訪れる観光客にとって魅力的な要素と言えます。
インタビューにお応えいただき、ありがとうございました。
Read more: