ヨルダン、ラーニア王妃 東京国立近代美術館70周年記念展「重要文化財の秘密」をご鑑賞

東京都千代田区にある東京国立近代美術館は、日本初の国立美術館として1952年に開館して以来、日本の近現代美術を中心としたコレクション、保存、調査研究と質の高い展覧会の開催をし続けている。

現在は開館70周年を記念して企画展「重要文化財の秘密」展が開催されている。この展覧会を、来日中であったヨルダンのラーニア王妃がタイトなスケジュールの中でご訪問なさってご鑑賞なさった。

ラーニア王妃は常に日本の芸術に深い感謝を抱いていらっしゃるという。この来日に際しても東京国立近代美術館を訪問なさることを楽しみにしていらしたのではないか。

「問題作が傑作になるまで」と言うサブタイトルを持つこの展覧会は、明治以降の絵画・彫刻・工芸の重要文化財68点のうち51点が展示されるという豪華な内容となっている。(展示替えあり)その中には、現在は重要文化財に指定されている傑作であっても、発表時には新しい表現を打ち立てた「問題作」として扱われていた作品も多い。重要文化財に指定された作品は、保護の観点から貸出し、公開が限定されるが、この展覧会では非常に多くの作品群を一気に観賞できる貴重な機会ともなっている。

ラーニア王妃は、そうした美術品が持つ歴史、美術史の秘密も事前にご存知だったとも思える。東京国立近代美術館については、日本の豊かな歴史を探求する素晴らしい場所であり、過去と独自の文化的アイデンティティに対する日本人の敬意を反映しているという公式メッセージも残していらっしゃる。

ラーニア王妃は、川合玉堂が描いた《行く春》、原田直次郎による《騎龍観音》の前でも足を止められご鑑賞なさった。

また、ヨルダンと言うお国柄もあってか、鷹の彫金作品もご鑑賞なさった。所蔵作品展「MOMATコレクション」では、太田聴雨の《星をみる女性》に興味を抱かれたようだ。

真剣な眼差しで鑑賞されるラーニア王妃
真剣な眼差しで鑑賞されるラーニア王妃
作品をご覧になる後ろ姿もなんとも画になる美貌と知性を備えたラーニア王妃
作品をご覧になる後ろ姿もなんとも画になる美貌と知性を備えたラーニア王妃

東京国立近代美術館の所蔵品、企画展は多くの海外の王族、政府関係者をも魅了し続けている。日本を訪れる外国人旅行者にとっても日本の美術を鑑賞し、理解するには最適の場所だ。

特筆すべきはそれぞれの作品に添えられている英語の解説の質の高さではないだろうか。日本美術のもつ独特の世界観、情緒を正確に伝える端的な英語の表現は素晴らしい。英語を学んでいる学生、通訳·翻訳業を目指す人々にも、日本美術を語る上でのいい教材になると思う。

現在開催中の「重要文化財の秘密」展は5月14日まで開催され、5月9日からは菱田春草の《黒き猫》も展示される。ぜひとも東京国立近代美術館を訪れ、企画展と所蔵作品展を合わせてじっくりと鑑賞していただきたい。

東京国立近代美術館:公式ウェブサイト

Similar Posts

  • シャングリ・ラ 東京 特製おせち

    家族を思いやるように温かくお客さまをお迎えする「シャングリ・ラ 東京」(所在地:東京都千代田区丸の内、総支配人:マティアス・スッター)は、2022年のおせち料理を販売をオンラインブティックにて開始。 「シャングリ・ラ 東京 特製おせち」には、ホテルでも好評の、イタリアン、アジアン、中華および日本料理を組み合わせたユニークな内容に別添えのスイーツが添えられている。お酒やワインと合わせて、選び抜いた食材で作られた贅沢なおせちはいかがだろうか。 【メニュー】 ~一の重~ :宮崎県産キャビアとブリニ、国産牛のローストビーフ(トリュフソース)、海老焼売、ポーク焼売、広東風チャーシュー(オレンジ蜂蜜風味)、フルーツパウンドケーキ、生月餅、スノースキン(ラズベリーローズ・ココナッツマンゴー、チョコピーカンナッツ ~二の重~ :いくら醤油漬、紅白蒲鉾、黒豆、栗甘露煮、穂先筍煮、梅人参煮、六方里芋煮、椎茸旨煮、割烹オクラ、有頭海老煮、金柑甘露煮、子持鮎甘露煮、烏賊松笠雲丹焼、わかさぎ田作り、紅鮭昆布巻、合鴨燻製、たこ煮、数の子、蛤山椒しぐれ煮、若桃甘露煮 ~別添え~ :ザ・ゴールドマカロン、チョコレート 【価格】 54,000円(税込・送料込)  ご注文方法・発送方法等の詳細はシャングリ・ラ 東京オンラインブティックより [オンラインブティック]Shangri-La Tokyo 【シャングリ・ラ 東京について】 シャングリ・ラ 東京は、シャングリ・ラ ブランドにおける日本初のホテルとして2009年3月2日に開業、東京のラグジュアリーホテルとして一流のホスピタリティを提供している。また、お客様に安心してお過ごしいただける環境を確保するための継続的な取り組みの一環として、ホテル全体で一連の安全基準と予防策を講じるとともに、従業員教育、また変わりゆく状況に対応するため感染症対策「シャングリ・ラ…

  • エンタメの次世代を育成 – 米倉リエナさん

    今回のゲストはディレクター、女優、キャスティングディレクター、通訳者、演技コーチとして多彩に活躍する米倉リエナさん。 有名キャスティングディレクター・奈良橋陽子と、プロデューサーであったジョニー野村を両親に持ち、自然とエンターテインメント業界に足を踏み込んだ米倉リエナさん。アメリカに留学し演技とディレクティングを学んだ後、現地で女優としても経験を積み、日本の女優として初めて米名門俳優養成所「アクターズ・スタジオ」の公式メンバーとなった。 Watch the video here ◆ Camino Realhttp://www.caminoreal.jp/en/ ◆ Instagramhttps://www.instagram.com/lyenayonekura/

  • レスリー・キー:世界で活躍ファッション・フォトグラファーの撮影現場

    【Eyes On Japan】チャンネル 東京のクールでスタイリッシュな「人」と「場所」をお届けする【Tokyo in Style】シリーズ。今回は、日本・ニューヨーク・アジアを中心に活動するファッション・フォトグラファー、レスリー・キーの撮影現場へ潜入。 また、ビューティー界のカリスマ、スティーブン・ヘインズ伝授する「カメラの前で輝く為の秘訣」も必見! 動画はこちらから! 【レスリー・キー】 レスリー・キーは、アジアンアート、フォトフラフィーの歴史の中で、今最も影響力のあるフォトグラファーとして知られる。彼の、夢を追い生きる姿は、日本、中国、シンガポール、韓国、東南アジアの若手アーティスト、特に学生に刺激を与え続けている。 【関連記事】: GUCCIの没入型エキシビション 「グッチ ガーデン アーキタイプ」

  • ボテロ展 ふくよかな魔法 現在開催中

    コロンビアが生んだ現代美術の巨匠、フェルナンド·ボテロ。その人生とアートへの取り組みを描いた映画「ボテロ」も世界各国でヒットする中、日本国内では26年ぶりの大規模絵画展が、現在、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている。 今回の展覧会は、ボテロ本人の監修によるものだ。初期の作品から、2000年代に制作された油彩、水彩・素描作品など、合計70点が出展されている。そのうちの殆どが日本初公開だ。 この展覧会は、6つの章から構成されている。 「第一章初期作品」では、まだふくよかではない人物画も見ることができる。 「第二章 静物」では、なぜボテロがボテリズムと呼ばれるボリュームのある作風を始めたかのきっかけを知ることができる。 「第三章 信仰」はボテロが故郷メデジンで出会った聖職者の姿がユーモアと風刺をもって描かれている。 「第四章 ラテンアメリカの世界」では、ボテロが生まれ育ったラテンアメリカの暮らしを背景に、人々の姿を淡々と描いている。 「第五章 サーカス」はメキシコで出会ったサーカスと生活を共にし、そこに生きる人々の姿が描かれている。人々が楽しみにしているサーカス。しかしその演者たちには、何も表情はない。 「第六章 変容する名画」ではボテロに影響を与えてきたベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなどの代表作が、ボテロ流に描かれている。今回日本初出展となった「モナリザの横顔」も含まれる。この章は印象的だ。特にヤン·ファン·エイクの名作「アルノルフィーニ夫妻」は、ボテロ流にふくよかに描かれ、さらにオリジナルには描かれている凸面鏡の中の結婚の証人である画家とその弟子は省かれている。鏡に映っているのは半開きのドアと、それを見つめる「アルノルフィーニ夫妻」の後ろ姿だけだ。これは何をしているのだろう。 ボテロの作品はふくよかであることはよく知られている。しかし、どの作品野登場人物にもまったく表情がないということは意外に知られていない。どの人物も淡々とした表情をしている。これはボテロから「見る側」へのメッセージではないか。 ボテロは「芸術とは、同じことであっても、異なる方法で表す可能性である」とコメントしている。見る側もその作品についてどういう思いを抱くか。 ボテロのメッセージを心に抱いて、真剣に向き合うと非常に面白い。 誰もが「ボテロのふくよかな魔法」にかかってしまう。 展覧会公式サイトはこちらから 【関連記事】 映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』を観に行こう! 南條俊輔フランソワ「夢のアルゴリズム」 個展「A Quiet Sun」メゾンエルメスにて開催

  • メキシコ観光サイト「VISIT MEXICO」日本語版サイトを新設

    メキシコ観光旅行をより楽しむため、メキシコ大使館は「VISIT MEXICO」日本語版サイトを新設した。 このサイトの日本語版新設、開始を記念して、VISIT MEXICO JAPAN のサポーターとしても活動するEXILEのÜSAと元AKB48のメンバーで、現在はメキシコ在住の入山杏奈が登壇し、間近にみるメキシコの魅力を語った。 EXILEのÜSAは2018 年から6年もの歳月をかけてオリジナルテキーラブランド”HAPPiLA”も展開している。入山杏奈が案内するメキシコは、カジュアルで、どこも女性が心ひかれるような場所ばかりで、今までのメキシコとは違った面を見せてくれる。 二人が紹介するメキシコの魅力に浸りながら、最後はメルバ・プリーア大使の心使いによる本場メキシコ料理を、テキーラを飲みながら堪能した。 メキシコは素敵だ!と改めて感じた参加者はとても多い。ぜひともその魅力を現地でも感じてみたい。まずはサイトをみて、旅行を計画しよう! VISIT MEXICO JAPAN:https://www.visitmexico.com/jp/ 【関連記事】 フェスティバル・ラティノ・アメリカーノ2021・チャリティーバザール

  • 外国人が見た日本とは?

    25周年記念「にっぽんー大使たちの視線写真展」、六本木ヒルズで開催” 日本を外国の人々はどう見ているのだろうか。それはとても気になるところだ。改めて海外からの視線で日本の良さをしることもある。今年もちゅうにちがいこうかんが捉えた現在の日本の姿を写真で紹介する「にっぽんー大使たちの視線写真展」が開催された。 「にっぽん―大使たちの視線写真展」は名誉総裁に高円宮久子妃殿下をお迎えし、1997年に開始された。25種年を迎える2022年には合計34カ国の駐日外交官およびその家族が参加した。また名誉総裁の高円宮妃殿下も特別出品している。 この展覧会を見て、特筆すべきことは、在日外国人が日本の美しさを見逃さないことだ。日本という国にある小さな空間、瞬間を如実に捉えている。走りゆく地下鉄、現代美術、相撲の合間に観る呼び出しの姿など、日本人が見過ごしてしまうような瞬間がここには溢れている。 また、日本各地で撮影された写真をみて、鑑賞者である私たちは、外交官という仕事の多忙さも改めて知ることになる。コロナ禍にあっても休むことなく日本各地を巡り、日本を知り、自国を紹介し、友好に勤めている人々の姿を作品の背後に観る。 10月7日から11日までと短い期間での展示であったが、ヒルズカフェに揃った作品がもたらす意味は大きい。各地への巡回、来年の開催が楽しみになる展覧会だった。