カナダ・デーを祝う!日加友好コンサート:ランディ・バックマン&TAKESHI
今年度のカナダ·デーには、カナダを代表する伝説的ロック・スター、ランディ・バックマンとTOKIO、嵐、関ジャニ∞などへの楽曲での提供などでも知られるTAKESHIによるコンサートが、在日カナダ大使館で開催された。
この二人のコラボのきっかけは、今を遡ること45年前の1977年に起きた一件の盗難事件に始まる。約半世紀にわたってギターを探し続けたこの物語は、イアン・マッケイ駐日カナダ大使の粋な計らいによって、感動的なハッピーエンドを迎えることになった。
「やっとガールフレンドがもどってきたんだ」とTAKESHIが持つグレッチのギターを指してそう語るのは、ゲス・フー、バックマン・ターナー・オーバードライブの創設メンバーとしても知られるロックの大御所、ランディ・バックマンだ。
ランディ・バックマンにとって、この1957年製のグレッチ6120チェット・アトキンス(PX6120)は「特別なもの」だった。19歳の時に、アルバイトを掛け持ちし、苦労して稼いだお金でやっと買ったギターであり、大ヒット曲「アメリカンウーマン」もこのギターを使って作曲した。
その大切なギターは1977年、トロントのホテルで盗まれてしまった。「3日間涙にくれた。自分の一部だったから」とランディ·バックマンは当時を振り返る。彼は代わりを求めるべく300本ものギターを買ったとも語っている。
TAKESHIは、ランディ·バックマンがかつてもこのギターを所有していたことを知らずに、東京の店舗でこの1957年製のGretsch 6120 Chet Atkins(PX6120)を購入した。それは今から8年前の2014年だった。
ギターが盗まれて以来、ランディ・バックマンはこのギターを探し続け、あらゆるメディアを通じて呼びかけてきた。近年のネットの進化により、ランディ・バックマンは日本のアーティスト、TAKESHIがこの盗まれたギターを持っていることを知るに至る。
二人は20年5月に初めてオンラインで会談を果たし、TAKESHIは同じミュージシャンとしてランディ・バックマンのそのギターへの思いを理解し、返還することとなった。
ランディ・バックマンはこのグレッチを「ガールフレンド」と呼ぶ。TAKESHIにとっても8年間を共にし、名曲を共に生み出してきたこのギターには特別の思いがあった。その思いを理解したランディ・バックマンは、同じ型のギターを持つ人を探し出し、やっと譲ってもらったという。
ステージの上で二人はギターを交換し、固く手を握り合った。在日カナダ大使館で、45年にわたる捜索は、「新しい友を得る」という最良の集大成となった。
現在、ドキュメンタリー映画『Lost and Found』がカナダと⽇本で撮影されている。この映画はランディ・バックマンが盗まれたギターを家族、友達、ファンをも巻き込んで探し続け、TAKESHIから手渡されるまでの長い道のりを描いている。
ランディ・バックマンの半世紀近い「ガールフレンド」を探す旅は終わり、今、TAKESHIとの新たなコラボと心の旅が始まろうとしている。