ようこそ!新任ペルー大使が語る「ペルーの本当の魅力」とは?
アンバサダーインタビュー:2022年4月4日
H. E.ロベルト・セミナリオ、駐日ペルー大使
•新駐日大使としてのミッションをお話しいただけますか。
では、このインタビューを始めたいと思います。まずは、この機会を与えてくださった皆様に感謝を申し上げます。
この度の着任については、日本との関係をより強化する多くの機会に恵まれ、私の国、ペルーのために奉仕することは喜びであり名誉だと思っております。今後、数年の間に、二国間の議題となるような重要なイベントがいくつかあります。その最初となるのは、二国間関係樹立150周年を、2023年に祝うことがあります。ペルーは、ラテン·アメリカで最初に日本と外交関係を結ぶことを合意した国です。また、ペルーは2024年にAPEC会合を主催する予定となっており、この機会には日本の政府高官らによるペルー訪問が期待されています。 大阪万博が開催される2025年には、ペルーの政府関係者らが来日することにも期待が集まっています。
COVID-19のパンデミックによって難しくなった活気に満ちたビジネス、対面のミーティングが、今年は回復することを願っています。
•ペルーと日本の関係の最近の進捗、進展をどのようにご覧になっていらっしゃるのでしょうか?
いままでは、多国間メカニズムでの協力、両国の共通の関心事である二国間協議事項への収束に向け、より深く探求していくことを促進するために、重要な政治的プロセスを進めてまいりました。経済的な議論においてはある程度は促進されてきており、その結果、ペルー製品の新しい市場を開くことを含め、貿易と投資の流れはスムースに進んできています。この経済促進への努力は、観光と文化外交と並ぶ、広報や民間も含めて推進していくパブリック・ディプロマシーに統合されたビジョンの一部と言えます。
それでもなおペルーと日本が戦略的パートナーであることを考えると、二国間の協議事項での充実を目指す取り組みには、まだまだ改善の余地があると思います。ペルーと日本は政治的および経済的な自由の維持と促進などの重要な利益、人権と民主的制度への支援、両国の人々と国際社会全体の繁栄の拡大についてなど、多くの価値観をも共有しています。
この点においてペルーと日本が取るべき行動とは、150年に及ぶ友好関係を築いてきた「無理のない範囲でということ」を乗り越え、さらにより広く深い絆を生み出すだめにも二国間関係を再発見し、それらを目的とした包括的な中長期ビジョンに導かれていくことでしょう。
•今後、ペルーと日本の関係を強化するために、どの分野への焦点と機会を見ていらっしゃるのでしょうか。
鉱業セクターと輸送インフラへの投資を通じたペルーの発展への日本の貢献は、否定できませんが、ペルーが提供する友好的な法的な枠組みを考慮に入れると、この取り組みはまだ十分に発展していないと言えます。
•差別のない扱い:外国人投資家は国内投資家と同じ扱いとなる。
•ほとんどのすべての経済セクターへの無制限のアクセスが可能。
•自由な資本移動。
•自由競争。
•私有財産の保証。
•国民から株式を取得する自由。
•内部および外部のクレジットにアクセスする自由。
•国際紛争解決メカニズムへのアクセス。
2021年から2022年のプロジェクトポートフォリオには89億ドルの投資が含まれており、その投資分野は先に述べられた鉱業と輸送、その他に衛生、エネルギー、通信、健康、教育などの分野を含んでいます。
一方、ペルーでは商品やサービスを求める中産階級が出現したことにより、小売売上高が上昇しています。「コモノヤ」、「MINISO名創優品」、および同じように好景気を示している農産物輸出部門において、一部の日本企業はすでに事業を行っています。
•将来の可能性を秘めていると言える主要産業は何でしょうか?
まず、ペルーは常に両手を広げて日本のビジネスマンを歓迎しております。また、ペルーはチャンスの国であることもお伝え致したいです。ペルーは良い関係と共によい「推進力」も兼ね備えています。
そうは申し上げても、さらなるコラボレーションには多くの分野が関わってきます。現在、ペルーが強みを発揮できる分野は、鉱業、自動車、重機、および食品と農業です。しかし将来的には、フィンテックや新興企業など、さらに多くの分野で高度な技術を提供し、科学技術からエネルギーまでの更なる分野で協力できるようになると想定しています。
•ペルーから日本に輸出されている製品について教えていただけますか。
ペルーからはさまざまな製品が日本に輸出されています。その中には、銅、亜鉛、鉄、天然ガスなどの鉱物が含まれています。またその他にも魚粉、イカ、イカ、マスも輸出しています。ここでは20品目に絞ってペルーからの主な製品についてお伝えいたします。
日本市場に出回っているペルー産の青果物はアスパラガス、マンゴー、バナナ、アボカド、イチゴ、ココア、コーヒー、カムカム、アーティチョーク、トウモロコシ、ルクマ、乾燥カプシカム、温州みかんなどがあります。
ペルーから日本への輸出品の総数のうち、アスパラガス、ケントマンゴー、キャベンディッシュバレリーバナナ、ハス種アボカド、Satsuma(サツマ)みかんなど、新鮮なものはごくわずかです。ここでお伝えしているこうした輸出品については、なぜペルーでそれらを生産し始めたかに関わる興味深い話があります。ご存知のように、日本のペルーへの移民は123年前に始まりました。初めて移民として日本人がペルーに到着したとき、日本人は日本の伝統と文化遺産だけでなく、ペルーという新しい「故郷」で日本を味わい続けたいと思い、日本からのいくつかの産物を持ってきました、その1つがSatsuma(サツマ)みかんでした。 初めての移民の到着から1世紀以上経った現在、より風味と甘みをまして、このみかんはペルーから日本に里帰りしています。
ペルーの新鮮な産物の重要な特徴の1つは、日本とは逆のシーズンに栽培されていることです。このことにより、ペルーからの産物は日本の産物とは同じ時期に市場で競争しないので、日本の農業に影響を与えることはありません。さらに日本人は毎年、これらの産物を楽しむことができます。
こうした果物などの他に、私たちペルー人が誇りに思っている産物には、キノア、アンデスマカ、キャットクロー、アマランサス、コーヒー、ココア、カムカムなどのいわゆるスーパーフードがあげられます。これらはミネラルの摂取、病気の予防、健康維持を助けます。ペルーはまた日本が食料安全保障を達成することについても役立っています。
【時事問題について】
•ペルーは女性の活動をどのように支援していますか?男女共同参画社会なのでしょうか。
1993年に制定された憲法で、女性と男性に対し権利の平等を定めました。以来、政府はこの目標を達成するために、重要な策を講じてきました。少しずつではありますが、女性は政府レベルと民間部門において、重要な地位を獲得してきました。現在、議会の議長は女性が務めておりますし、ペルー議会の女性議員の数は全体の40%を占めており、前回の議会(26%)から大幅に増加しています。
民間部門では、全米民間企業連合(CONFIEP)の前の議長職は女性が務め、主導していました。中小企業組合(SME)の現在の議長も女性が務めています。
ペルー社会において、女性に力を与えるためにすべきことはまだまだありますが、ペルーでは女性がその潜在能力を最大限に発揮し、男性と同じレベルで社会に貢献できるように積極的に取り組んでいると言えます。
【文化について】
•ペルーの文化について教えていただけますか。
ペルー人としてペルーについて考えるとき、ペルーという国が持つ莫大な文化的資産と、その領土に社会を築いた男性と女性の努力、今日、国としてなされる前の5000年以上の歴史と全世界と繋がり、その長きに亘って進化してきたという史実を思い出さずにはいられません。 ペルー人はペルーに最も古く、魅力的な考古学的および建築的モニュメントを残しました。それに加え、ペルーを今日の国際社会で賞賛されているような多文化の国を形成するのに役立ったユニークな伝統もあります。ペルーはまた、素晴らしい景観と素晴らしい生物多様性をもった「故郷」とも言えます。
•日本でペルーの文化を紹介する展示会やイベントを開催する予定はおありでしょうか?
ペルー大使館では文化イベント、展示会等に日本の皆様をご招待したいと思っています。 2022年には、山形大学、専修大学と共同でナスカラインに関する会議を開催する予定です。また、6月には象徴的なデザインと鮮やかな色で、世界的に知られているアヤクチョの刺繡技法に関するワークショップを開催します。建国記念日(28日)を祝う7月には、映画祭とアンデス音楽コンサートの開催予定もあります。最後に、10月下旬から11月上旬にかけて、大使館は渋谷市役所でプーノ地方にあるプカラの特別な陶磁器の作品の展覧会を開催する予定です。その美しい色と庇護と繁栄の象徴として、世界的に有名な15頭のプカラ雄牛も展示されます。
2023年、外交関係樹立150周年の一環として、大使館はペルーの画家カルロス・クイズペス・アスンと日本の画家、野口忠之による2つの美術展を含む特別な活動の議題を提示する予定です。さらにリマ市にある天野プレコロンビアン織物博物館からの古代アンデス織物の特別展が予定されています。
•観光についてもお話しいただけますか。
ペルーでは、すべての体験が特別なものであるのではないでしょうか。すべては何を探し求めているか、どこが目的地であるかによります。ペルーではビーチ、砂漠、山、そして熱帯雨林への旅が可能です。もし冒険を体験したい場合は、世界で最も深い峡谷の1つであるコルカバレーをお勧めしますし、歴史と芸術を見つけるアンデスバロックルートクスコへの訪問、アンデス山脈のトレッキング、ワラス山への登山、マチュピチュの景色を体験し、アマゾン川へのナビゲートもできます。またおいしいハイレベルな料理を愛するなら、ペルー料理から先祖代々の味を見つけることもできるでしょう。ペルー料理とは、海岸、高地、熱帯雨林で取れる食材を使用し、何千年もの味が融合されているからです。首都リマは南北アメリカの美食の首都と見なされており、素晴らしいレストラン、バー、居酒屋がすぐに見つかることでしょう。
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