夏休みに行きたい美術展(1)

ムーミンコミックス展開催
駐日フィンランド大使館所蔵 貴重な作品、フィギュアも同時に展示公開
東京富士美術館

〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1
TEL: 042-691-4511
FAX: 042-691-4623

https://www.fujibi.or.jp/

東京富士美術館(館長 五木田聡)では6月18日からムーミン童話の原作者トーベ・ヤンソンによるムーミンコミックス展を開催している。初日、午前中に行われた開会式には、地元の小学生を招待し、子どもたちも交えたほほえましいテープカットも行われた。

世界中で人気のムーミンコミックスは1947年にスタート。1954年イギリスの「イブニング・ニューズ」紙で連載がトーべ・ヤンソンによって開始され、後に弟ラルスの協力を得て20年以上、掲載された。

トーべ・ヤンソンが生み出した世界的なキャラクター、ムーミンはこのコミックスによって世界に知られるようになったといっても過言ではない。しかし、このコミックスを続けるためには弟、ラルスの大きな貢献があった。ラルスは考えに行き詰まった姉トーべを助け、スウェーデン語を英語に翻訳していく。トーべはラルスを信頼し、難しいムーミンの描き方を詳細に指導する。最終的にはラルスがこのムーミンコミックスの著者となったが、この事実は意外に知られていない。

この展覧会では、日本語未翻訳となっているストーリーやコミックスだけに登場する個性的なキャラクターの設定画やスケッチ、原画など日本初公開となる280余点を紹介している。数多くの原画からは、画面の取り方などの工夫、キャラクターの表情、歴史、神話に基づいたストーリー作成など、作者の意図と苦労さえも読み取れる。内容は時にシニカルであり、今も色あせてはいない。「かわいいキャラクター」の展覧会ではなく、むしろ、大人が楽しめる展覧会だ。

このムーミンコミックス展最後をかざる東京富士美術館での開催には、特別に駐日フィンランド大使館から貴重なムーミンに関する版画4点、フィギュア3点が貸し出された。

特別展示されている4枚のムーミンイラスト(複製)は、タンペレ美術館ムーミン谷美術館(現在のムーミン美術館)から贈られ、日本にある大使公邸に飾られていた。現在のオルパナ駐日フィンランド大使もこの作品を愛し、手元に置いていたと聞く。ミイ、スナフキン、ムーミンママのフィギュアは、長く日本の大使館に飾られていたものだ。特にアラビア社が作成したムーミンママのフィギュアは、制作年代が古く、現在はなかなか見ることができない。その愛らしい姿を是非とも見ていただきたい。

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