映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』を観に行こう!
世界でもっとも有名なアーティストと言えば、間違いなく上がるのがボテロの名前だ。ボテロはコロンビアが生んだ、現代最高のアーティストであり、南米のピカソとも呼ばれている。
日本でも極めて知名度が高いボテロの人生に迫る映画「BOTERO フェルナンド·ボテロ 豊満な人生」が現在、上映されている。
この映画は、ある意味、非常に感動的であり、真実の重みも感じる。
ボテロの作品の最大の特徴は、そのふくよかさにある。すべてがふくよかで、自然で素朴だ。なぜ彼は全てをふくよかにしたのか。この映画を通して、人々はボテロの画家としての人生、その作風「ボテリズム」が生まれた背景に迫る。
ボテロの人生は、作品に現れるようにふくよかで、ユーモアに満ちたものではなかった。貧しい家庭に生まれ、苦労し、人を愛し、愛に破れ、芸術にも行き詰った。まだ幼い我が子を交通事故で無くし、その事故でみずからの右手の一部も失っている。芸術家にとっては致命的だ。
そうした苦労を乗り越えて、ボテロが至ったのは、「描く対象の美しさや官能性を追求した結果である今の作風」だ。
ボテロの母国コロンビアへの愛情はとても強い。映画の中で最も印象的だったエピソードは、ボテロがコロンビアのメデジンに平和の象徴でもある「豊満な鳩」のブロンズ像を寄贈し、公園に展示された。ところが、テロリストたちはそのボテロの作品に爆弾を仕掛けた。多くの死者、負傷者が出る大惨事となり、もちろんボテロの作品も爆破されてしまう。その気の毒な程に破壊された作品に対し、ボテロはそのままに展示することを願う。そして、さらにその横に、新たな「豊満な鳩」を展示している。
また、ボテロが育った時代、故郷メデジンには画廊も美術館もなかった。ボテロは市長の願いを聞き入れ、美術館建設に一役買う。多くの作品、自分が買い集めた名画のコレクションをボテロはすべて寄附した。さらに、「ああ、ここにモネの作品が一点でもあったら」、という市長の独り言を聞いたボテロは、市民のため、コロンビアの国民のためにモネの作品を加える。
かつて危険な都市であったメデジンは今、こうした人々の努力によって、美しく平和な街に生まれ変わった。
ボテロはいま、モナコに暮すが、彼はいつの時代もコロンビア人であることを誇りに思っている。そして、常に彼は「単なる絵描き」でいることを純粋に願い、いつも新たな気持ちで作品作りに向かう。
芸術を愛する人だけでなく、全ての人々にこの映画を見て頂きたい。必ずボテロとボテロを生んだコロンビアが大好きになる!
映画『フェルナンド·ボテロ 豊満な人生』公式サイト
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