リトアニア独立を祝って「自由とは勝ち取るもの」
2023年、在日リトアニア共和国大使館はリトアニアに関係する人々と共に105回目の独立記念日を祝った。
リトアニアと日本の交流の歴史は古く、在日リトアニア大使館は札幌、千葉、大阪、また、駐リトアニア総領事であった杉原千畝の出身地でもある岐阜にも名誉領事館を持つ。現職のオーレリウス・ジーカス大使は早稲田大学、金沢大学への留学経験もあり、完璧な日本語を話すリトアニアきっての日本通でもある。ジーカス大使は着任以来、さらに日本各地での交流などを積極的に進めていることから、この独立記念レセプションには、リトアニアに関係する多くの著名人が日本各地から出席した。また、ラーム・エマニュエル駐日米国大使をはじめとする各国大使、リトアニア友好議員連盟で活動し「リトアニア功労十字勲章」を授与された中曽根弘文参議院議員らも姿を見せた。
このレセプションの冒頭のジーカス大使による挨拶では、「自由とは、与えられるものではなく、勝ち取るものだ」という、リトアニアの人々の気持ち、精神を表す力強いメッセージが述べられた。また、リトアニアより来日中のビータウタス・ミタラス国会副議長からは、「リトアニアと日本を結ぶ友好の絆が、現在直面している課題の解決に貢献することを願っている」というメッセージが述べられた。
その後、リトアニアと日本の二国間関係の発展、日本におけるリトアニアのプロモーションに多大な貢献をした人々への表彰式も執り行われ、在日リトアニア共和国大使館感謝状がジーカス大使より授与された。
その中でも最も印象的だったのは、杉原千畝がリトアニアでユダヤ人の出国のためにサインしたビザの原本も手渡されたことだ。当時、カウナスの日本総領事館に勤務していた外交官の杉原千畝と、オランダの外交官ヤン・ツバルテンダイク領事代理が1940年にカウナスで発給した「命のビザ」のオリジナルが、今年の独立記念日直前に在日リトアニア大使館に届いた。多くのユダヤ人をすくった「命のビザ」の貴重なオリジナルは、杉原千畝が生まれた岐阜県八百津町にある杉原千畝博物館で今後、展示される。リトアニアと日本を結ぶ友好の証としても杉原千畝の功績とその精神は決して忘れられない。
現在のリトアニアは、明るい国民性と優秀な人材に恵まれ、力強く発展をし続けている。かつて旧ソ連からの独立においてリトアニア独立革命を指導し、独立回復を遂げた後には最高会議議長として同国の国家元首を務めたヴィータウタス・ランズベルギスが熾烈な独立回復への道、政治闘争、文化への思いを取材したドキュメンタリー映画「ミスター・ランズベルギス」も現在上映されている。美しい国土は旅行者にとってもとても魅力的だ。今、独立記念日を祝うとともに、より深くリトアニアについて知ってみたい。