駐日エルサルバドル大使館、エスコバル瑠璃子展「New Hope: Imagery of Salvadoran Wildlife」を開催
日本とエルサルバドルの関係はとても長く、2025年には外交関係樹立90周年「日・中米交流年」を迎えた。エルサルバドルは中央アメリカに位置し、日本の四国よりも一回り大きい国土に暮らす人々は、勤勉で責任感が強いという国民性を持つ。また、教育に非常に熱心であり、手仕事を得意とすることから「中米の日本」とも呼ばれている。現在は、ブケレ大統領のリーダーシップの下、治安が飛躍的に改善しており、美しい国土は将来、芸術、観光でも注目されることだろう。
日本人画家エスコバル瑠璃子は、1976年から1984年までエルサルバドルで暮らし、自分の目で見て体験したことを表現してきた。

エスコバル瑠璃子はまだ高校教師として勤務していた1970年代に、国費留学生のエルサルバドル人のデヴィッドと出会い、家族の反対を押し切ってエルサルバドルに赴き、二人は結婚する。エルサルバドルでの暮らしでは、エスコバル瑠璃子は当初は習慣、文化の差などに戸惑ったとも言う。しかし、エルサルバドルの暮らしの中で、その歴史的激動期を体験したことは彼女の芸術観には深い影響をもたらした。そのような時代の生き証人として、エスコバル瑠璃子はエルサルバドルに強く生きる人々と生命の息吹を描き続けてきた。

この度の展覧会では、エスコバル瑠璃子の芸術の明るさ、奔放さ、楽しさとエルサルバドルへの愛情を垣間見ることができる。エスコバル瑠璃子は、エルサルバドルの最下層の人々、市井にいきる人々の暮らし、そして内戦で傷を負った人々も多く描いてきている。しかし、この展覧会には明るい作品が多く展示された。それはエルサルバドルが激動期を経て、安定した成長を遂げていることが彼女の作風にも反映され、自然に彼女の作風も明るくする要素となっているのかもしれない。

今回展示された作品は、いずれもエルサルバドルの自然を描いている。豊かな大地には色鮮やかな鳥たちが戯れ、大きな花が咲き乱れ、海には活き活きとした魚が泳ぎ、貝が息づく。エルサスバドルの日常をエスコバル瑠璃子は描きだしており、見る人はこの地に生きる人々の力強さ、生命の輝き、自然への賛美、発展を続ける社会への称賛を強く感じ取ることができる。


エスコバル瑠璃子は内戦に巻き込まれ、家族と大変な苦労を乗り越え、たどり着いた日本での定住と平穏な暮らしを得るまでには大変な努力があった。1941年生まれのエスコバル瑠璃子は今年、85歳となった。年を取ったという。だが、エスコバル瑠璃子は今、人生を一番楽しめる季節にいきているのではないか。彼女が愛するエルサルバドルが苦難を乗り越え、安定した社会となっていることにも結びついているようだ。

エルサルバドルの国鳥トロゴス(ターコイズブラウドモット)は大変美しい鳥で、その姿、色はエルサルバドルの芸術表現にもしばしば使われている。今回の展示では、国鳥トロゴスとその鳥が持つ「大きく輝いた尾羽」をエスコバル瑠璃子も描いている。この作品がこの展示において最も象徴的な作品だ。

この「大きく輝いた尾羽」こそが、彼女の愛するエルサルバドルの明るい未来と更なる発展への象徴と思えた。やさしさと希望、母が持つような無償の愛に満ちた素晴らしい展覧会だった。
