「アフリカチャリティーバザー」 アンゴラ大使館で開催

「アフリカチャリティーバザー」 アンゴラ大使館で開催

活発にチャリティー活動を行っているマリア・ファティマ・シャビエル夫人とアフリカ諸国の大使夫人により、3月18日(土曜日)にチャリティーバザーが開催される。 このバザーでは、アフリカ諸国、各慈善団体によるブースが設けられ、アフリカの物産、各地の名産、食品などが販売される。各国のブースでは日本ではなかなか手に入らないもの、良質の香辛料なども多く出品され、各慈善団体のブースからは掘り出し物も多いという。 各国の大使夫人自らが手掛ける本格的バザーであり、また、木彫りの彫刻、アフリカの絵画などが多く展示されているアンゴラ大使館内部を見るにも良い機会だ。 また、このバザーからの収益金は、トルコ地震の被災者、ウクライナから避難してきた人々の支援に使われる。 詳細は以下の通り: アフリカチャリティーバザー 主催:駐日アンゴラ大使館、アンゴラ大使夫人およびアフリカ大使夫人会 日時:2023年3月18日午前10時半から午後3時まで 場所:駐日アンゴラ大使館 (世田谷区代沢2-10-24)    井の頭線 池ノ上駅下車 南口 徒歩4分    小田急線 下北沢駅下車 中央口 徒歩12分 入場料:1000円 入場券購入のお問合せは:アンゴラ共和国大使館まで 電話:03-5430-7879 (伊東、園田) 【関連記事】 アンゴラ大使インタビュー アンゴラ大使館 〜白田道成と素敵な仲間たち〜 チャリティーコンサート開催

東京国立博物館 デジタル法隆寺宝物館 最先端の技術で歴史を見る

東京国立博物館 デジタル法隆寺宝物館 最先端の技術で歴史を見る

日本が世界に誇る文化遺産といえば、まず一番に思い浮かぶのは奈良県にある法隆寺だ。その魅力を日本国内だけでなく、海外にも発信しようと内覧会が開催された。この内覧会では、日本に長く滞在し、日本の美術に造詣が深いジャーナリストのアリス・ゴーデンカーが解説を行った。 現存する世界最古の木造建造物である法隆寺は、7世紀初頭に用明天皇の皇子であった聖徳太子により、建立された。創建された当時は斑鳩寺(いかるがでら)と称したが、法隆寺とも呼ばれる。 1878年に法隆寺に伝来した宝物300件余は皇室に献納され、その収蔵・展示を目的として、1964年に東京国立博物館に法隆寺宝物館が開館、1999年に建て替えを行い、現在に至っている。 法隆寺宝物館では、現在デジタル技術を駆使し、法隆寺ゆかりの名宝をデジタルコンテンツで鑑賞することができる。また、宝物を同じくデジタル技術によって複製し、作られた当時の姿のままに鑑賞することもできる。 現在公開されているのは国宝「聖徳太子絵伝」をテーマとしたコンテンツだ。「聖徳太子絵伝」は1069年絵師・秦致貞(はたのちてい)の手により制作された障子絵で、現存する最古の聖徳太子絵伝とされる。全部で10面からなる大作であり、その画面には聖徳太子の生涯に起きた50以上の逸話、実績、事象等が描かれている。原品の「聖徳太子絵伝」は描かれた当初からは非常に長い年月が経っており、画面のいたみがひどかった。しかし、現代のデジタルコンテンツ〈8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝」〉によって高精細画像を大型8Kモニターに映し出し、描かれた細部までじっくり鑑賞することができる。 聖徳太子にまつわる逸話は現代にも伝わっており、日本人の多くが知る。その中でも特に知られているのは豊聡耳(とよとみみ、とよさとみみ)と呼ばれた伝説ではないか。ここでは11歳の聖徳太子が、36人の子供の話を聞き漏らさなかったという逸話が描かれた部分も明確に見ることができる。 鑑賞者はこの「聖徳太子絵伝」の見たい部分を大きく拡大してみることもできる。いくつもの伝説に彩られた天才「聖徳太子」の表情まで詳しく見つめることもできる。まるで聖徳太子の生きた時代を手に取るような体験だ。 法隆寺宝物館は、伎楽の面も多く所蔵している。伎楽は飛鳥時代に大陸からの帰化人が伝え、楽器の演奏とともに舞を行ったとされるが比較的早くにすたれてしまったという。法隆寺の伎楽面には飛鳥時代に作られた面が含まれているが、それらの面には大陸との交流を物語るように、ペルシャ人の面影を残すものもある。 年月を経てダメージを受けた面のうち2面は、現代の先端技術も用いつつ、厳密な考証を踏まえて復元模造が制作され、制作当時の色も復元されている。その復元には、海外の美術館博物館に残る資料から得られた情報も反映されている。2019年に伎楽面「呉女」と「迦楼羅」を復元したが、「迦楼羅」の冠、とさかの部分の復元はドイツに残る資料から行われたという。 また、伎楽装束「裳(も)」と「袍(ほう)」も復元模造されている。これは当時の優美なデザイン、鮮やかな色を現代に楽しむことができ、とても楽しい。 東京国立博物館は日本の文化、歴史を紐解き、垣間見るには最も重要な文化施設だ。訪れる際は是非とも多くの時間を費やし、デジタル法隆寺宝物館にも立ち寄り、現代の技術によって復元された飛鳥時代の日本を味わってほしい。 東京国立博物館公式HP内「デジタル法隆寺宝物館」ページはこちらから

Norbert Palanovics

パラノビチ・ノルバート駐日ハンガリー大使インタビュー

このインタビューで、パラノビチ・ノルバート大使は母国ハンガリーの文化、芸術、科学、経済の発展とハンガリーの素晴らしいツーリズムに関わる温泉およびおいしいと評判のハンガリー料理について語り、さらに日本との経済的な相互関係と密接かつ強固な関係についても言及している。 質問:大使に就任なさった経緯とご経歴をお話しいただけますか。 大阪の関西外国語大学の新プログラムに参加するため、奨学金を得て初の交換留学生として2002年に初めて日本にやってきました。なぜ日本に来たかと言うと、日本文化というレンズを通してアジアに親しむことに興味があったからです。それが主な目的でしたが、 日本に関連した分野については、専門知識などはないという状態でした。まず交換留学生になれたという強みもありましたので、一般的な興味、好奇心だけをもって日本にやってきたわけです。 2004年には改めて奨学金を得て留学生として名古屋に来ることができました。そこで学び、後に博士号を取得しました。 今迄の私のキャリアにおいて、大阪、名古屋、東京で暮してきました。各地で交換留学生として学び、ジャーナリストとして働き、さらに企業で働くという経験をし、ハンガリーの代表的な企業の代表も務めていました。そうした経験からも、さまざまな角度から日本社会の多彩な側面を見て、経験することができました。 2016年からは大使としてハンガリーの代表を務めています。 これらの経験は色々な門戸を開くことを可能にしてきました。こうした経験があって私は日本の文化や地理の分野でも、あまり知られていない側面の理解を深めることもできました。 もし東京からこの人生の旅とキャリアを始めていたら、同じような経験はできなかったと思います。 東京はとても素晴らしく快適な都市ですが、それに慣れ過ぎていると冒険を避けるようになってきますね。 質問:カリコ·カタリン博士(新型コロナウィルスに対するワクチンの開発者)に代表されるような、ハンガリー人による文化的な面での重要な貢献をご紹介いただけますか? ハンガリーは人口1000万人未満ですが、 ハンガリー人を自称する人を含めると、その数は世界全体で約 1,500 万人にのぼります。 このように人口が比較的少ないにもかかわらず、ハンガリー人は多くの重要な文化的および科学的な分野で貢献をしてきたと言えます。 ハンガリー出身のノーベル賞受賞者は13 人に上ることもあり、その人々の業績を含む学術的な業績、さらにはクラシック音楽と現代音楽両方での貢献はとても大きなものです。これはハンガリーが小さい国であり、人口も少ないということを考えれば、間違いなく果たしてきた貢献の度合いは高いと言えます。 ハンガリーは多くの点で豊かな人的資源に恵まれており、その意味では大国だと思います。カリコ·カタリン博士については ハンガリー人は非常に誇りに思っています。女性であり、科学者でもあります。また、新型コロナウィルス感染のためのメッセンジャーRNAワクチンの開発において、その発明は大きなニュースにもなりました。 ハンガリー大使館の大使執務室の机の上には、ハンガリーを代表するもう 1…

駐日スペイン大使館・NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク後援「スペイン·サンティアゴ巡礼の道展」開催

駐日スペイン大使館・NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク後援「スペイン·サンティアゴ巡礼の道展」開催

香川県にはスペイン名誉領事館(名誉領事:松田清宏)、香川日西協会もあることから、スペインとの交流が大変活発であり、駐日スペイン大使館の支援によるイベント、セミナーなども開催されている。 今回は、世界遺産にも登録されている「スペインサンティアゴ巡礼の道」で撮影された画像を展示する。この展覧会では、鑑賞者は四国遍路のようにスペイン北部を祈るように巡る気持ちになることができるだろう。特別セミナーには、サンティアゴ巡礼の道を何度も巡っている写真家の問屋正勝が登壇。 スペイン北西部に位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂に繋がる「サンティアゴ巡礼の道」と日本の四国4県にまたがる「四国遍路」は2015年9月1日にサンティアゴ・デ・コンポステーラ市で協力協定を締結。両巡礼の道には共通することが多い。 サンティアゴ巡礼の道 サンティアゴ・デ・コンポステーラの町の歴史は、9世紀にキリストの12使徒のひとり、聖ヤコブの墓が発見された頃に始まる。聖ヤコブはスペイン語で「サンティアゴ」。やがて、現在の大聖堂の原型となる教会が建てられて、町が形成された。11世紀になると、「イエスや聖人にまつわる遺品である聖遺物には奇跡を起こす力がある。サンティアゴ・デ・コンポステーラに詣でれば、罪が許される。」と信じられ、ヨーロッパ中から巡礼者が訪れた。 四国遍路 古来、四国は国の中心地から遠く離れた地であり、様々な修行の場が存在した。弘法大師・空海は讃岐(現在の香川県)で誕生し、たびたびこの地で修業し、八十八ヶ所の寺院などを選び四国八十八ヶ所霊場を開創。八十八ヶ所霊場を巡礼することが遍路となった。当初の遍路は、修行僧などが中心であったが、弘法大師信仰の高まりと共に、日本全国から多くの人が遍路したと言われる。弘法大師ゆかりの地として、誰しもが一度は訪れたい霊場として発展。 スペイン·サンティアゴ巡礼の道展 開催日時 場所 丸亀町レッツホール 香川県高松市丸亀町1番地1 高松丸亀町壱番街東館4階

世界最先端の取り組みを紹介エルサルバドル大使館主催イベント「コーヒーとNFT」

世界最先端の取り組みを紹介エルサルバドル大使館主催イベント「コーヒーとNFT」

この度、在日エルサルバドル大使館は、エルサルバドルが世界に紹介したい3つの要素、コーヒー、テクノロジー、アートを組み合わせたユニークなイベント「Connecting the future: Coffee & NFT」を開催した。 このイベントに参加することにより、エルサルバドルのアイデンティティとも言える要素を体験することができた。特に展示された絵画に描かれていたテーマのように、人々と触れ合い、豊かなコーヒー文化に触れることもできた。 開会に当たり、ディエゴ・アレハンドロ・ダルトン駐日エルサルバドル大使は、日本のコーヒー、NTFなどのビジネスの関係者に向けて感謝を述べた。また、このイベントの作品展示に協力した 「アート·ドリーマー」のCEO 兼バリスタで、表参道でこだわりのコーヒーショップ、「KOFFEE MAMEYA」を展開する國友栄一およびアーティストのクリストファー·グレングレンを紹介した。 終始、NFTなどに関する議論、コーヒーの試飲、歴史と文化を感じさせる魅力的なアートと活気に満ちたイベントであった。 エルサルバドルについて: 良質なコーヒーの産地として世界に認められているエルサルバドルは、日本のスペシャルティコーヒー市場でもトップシェアを誇っている。 大量生産ではなく、丁寧に作られてきたコーヒーはとてもおいしく、人気を集めていることが評価されている。 エルサルバドルは、2021 年 9 月に世界で初めてビットコインを法定通貨として導入した。現在はエルサルバドルでは米ドルとビットコインの3つが流通しているが、政府は公式のビットコイン·ウォレット (ビットコインを保管する電子ウォレット) を設け、国民の移行を推進している。 そうした背景には以下の様な理由がある;…

バリアフリーな音楽に触れる ベルギー大使館主催 フィリップ·ラスキン·コンサート

バリアフリーな音楽に触れる ベルギー大使館主催 フィリップ·ラスキン·コンサート

ベルギーは美しい国土と文化遺産に恵まれ、ビール、チョコレート、ワッフルなどの明るいイメージもある、日本人が最も訪れてみたい国の一つだ。また、ヨーロッパを代表する音楽大国でもある。大作曲家として名高いウジェーヌ・イザイ、セザール・フランクを生み出し、モネ劇場という美しいオペラハウスも有する。エリザベート王妃国際コンクールは優秀な音楽家の登竜門として名高く、チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際コンクールと並ぶ世界3大音楽コンクールの一つだ。日本からも多くの若い演奏家がこの最難関と言えるコンクールに挑み、バイオリニストの堀米ゆず子を始め、多くの演奏家が優勝、入選を果たしている。 その音楽大国ベルギーの駐日大使館でロクサンヌ・ドゥ=ビルデルリング大使とステファン・レーム氏夫妻がピアニストのフィリップ・ラスキンを招き、コンサートを開催した。きっかけは大使夫妻がケニアに滞在中にこのピアニストと出会ったことであったという。ラスキンはブリュッセル王立音楽院でピアノ、室内楽、作曲を学び、多くのコンクールで上位入賞を果たしている。現在はウィーン国立音楽アカデミーで教鞭をとりながら、国際的な活躍をしている。 上記のような経歴を読み、きっと正統派のピアノコンサートであろうと想定していたが、その予想は大きく外れた。この日、ラスキンが演奏したプログラムは、ドメニコ・スカルラッティからブラームスラフマニノフはプロコフィエフ、さらにはジャズ、自作の曲まで「メランコリア」をテーマに旅する形で展開された、非常にバラエティ豊かな内容であった。 最初のスカルラッティによる曲ではあ、ラスキンはまるで鐘のように、ピアノは打楽器と言いたげに弾き、ブラームスではではこの作曲家が望んだような寛大な音で演奏した。ラフマニノフではロマン派の作曲家の曲らしいロマンチックな色合いを見せた。また、チック・コリアへのオマージュとして選んだ曲では目の覚めるような超絶技巧でジャズを演奏している。 祖父母がウクライナとロシア出身というバックを持つラスキンは、この度のロシアによるウクライナへの武力による侵攻にも心を痛めている。その思いを込めて自ら作曲した曲は、ウクライナの歴史と土地、現在の姿を思い起こさせた。曲の冒頭には水が流れるようなフレーズが現れ、それはシュヴァルツヴァルト(黒い森)に端を発し、黒海に繋がるドナウ川を思わせる。続いて現れた荒々しいフレーズは武力によって破壊されていくウクライナの街、人々の生活と歴史そのものだ。彼のピアノはとても雄弁であり、人々を説得させる力に満ちている。 プログラムの最後に選ばれたのは、ジャズの即興曲であった。その自由自在な発想と演奏は素晴らしく、音楽にはクラシック、ジャズなどという境界は何もないと改めて感じさせてくれた。 ベルギーはLGBT、SDGsといった今、現代人が取り組まなければならない課題をリードしている国でもある。音楽でもクラシック、ロック、ジャズといった垣根を取り払い、人々のあるがままの感情と心の動きを表現することを学ぶことができるのだろう。 雰囲気もプログラムもとても素敵なコンサートだった。フィリップ・ラスキンの改めての来日とコンサートを楽しみにしたい。 【関連記事】

アルジェリア料理を楽しむ〜大使夫人のランチ〜

アルジェリア料理を楽しむ〜大使夫人のランチ〜

駐日アルジェリア大使館のラルビ・カティ大使とファヒマ夫人は公的な外交に加え、民間を交えた草の根の交流にも大変積極的だ。12月には日本の子供達と日本に滞在しているアフリカの子供達を大使公邸に招待し、日本中近東アフリカ婦人会(通称NCAF、会長:小池那智子)、児童合唱・リトミックの「どんぐりのド」とのコラボによってとても楽しい音楽イベントも開催した。 この度は、昨年度にアルジェリア大使夫妻と共に活動をした日本中近東アフリカ婦人会のメンバーたちがファヒマ夫人のご厚意で大使公邸に招待され、本格的なアルジェリア料理のランチを楽しんだ。 アルジェリア料理と言えばクスクスが思い浮かぶ人も多いだろう。アルジェリア大使館で出されるクスクスは「日本で一番おいしい」という評判を得ている。ここにはアルジェリア料理を本国そのままに作るベテランのシェフもいる。そこで大使にお願いしてシェフにそのレシピを紹介していただいたこともある。 この度はお料理が大好きというファヒマ夫人が選んだメニューとなった。もちろんその極上のクスクスも入っていた。ラムを上品に煮込んだクスクスはアルジェリアを含む北アフリカ、アラブを代表する味だ。さらにこのランチで参加者がそのおいしさに注目したのは、Rechta (リシタゥ)と呼ばれる料理だった。 リシタゥというこの料理の名前はペルシャ語で「糸」を意味するリスタに由来する。日本では知られていないが、アルジェリア料理を象徴する一品だ。本国ではお祭り、婚約、結婚式などのお祝いの際によく提供されるという。 材料は細く平たいパスタ、チキン、ひよこ豆、カブ、ズッキーニで、さらにカブとシナモン風味のチキンが入ったソースをかけていただく。薄めの塩味がおいしく、「これで二杯目!」という声も多く聞かれたほど人気だった。 美味しい物を囲んでの異文化交流ほど楽しいものはない。日本中近東アフリカ婦人会には、夫の転勤などに伴って中近東アフリカに滞在した経験を持つ婦人、その文化に興味を持つ人々などもメンバーになっている。ファヒマ夫人と共通の「お料理の話題」などで盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができた。 なお、ファヒマ夫人は得意の料理の腕を活かして、鎌倉でもアルジェリア料理の講習会を開くという。中近東アフリカ婦人会も本場のお料理を学ぶ機会を設けている。その試みは長く続けられており、大使館関係の婦人たちの協力を得て料理集も2冊編集、出版、販売している。直近ではエチオピアコーヒーのセレモニーを学ぶ機会も設けている。 日本中近東アフリカ婦人会は今年10月に久々にホテルで大きなバザーの開催も予定しており、コロナ禍をぬけてますますその活動は面白くなっている。 【関連記事】

勝ち組になろう!ジャマイカ大使館、勝ち豆 ジャマイカ ブルーマウンテンコーヒーの日を祝う

勝ち組になろう!ジャマイカ大使館、勝ち豆 ジャマイカ ブルーマウンテンコーヒーの日を祝う

2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、2月4日の節分には恵方巻を食すなど、日本には食を交えた「おいしい記念日」がある。次にブームが来るのは1月9日の勝ち豆「ジャマイカ・ブルーマウンテン・コーヒーの日」ではないだろうか。 1月は入試直前でもあり、「勝ち」という言葉は受験生の励みにもなる。厳しい受験勉強の合間にも、香り豊かなブルーマウンテンコーヒーを飲んで、「勝ち組」となることを願い、あらたにモチベーションアップにも繋がる。では、なぜブルーマウンテンコーヒー豆は「勝ち豆」と呼ばれるのだろうか。それは、この最高級と言われるコーヒー豆が潜り抜けてくる過酷な環境とそれに耐える逞しさ、強さにある。 ジャマイカが世界に誇るブルーマウンテンコーヒーの歴史は1723年に、ルイ15世がフランス領マルティニークに3本のコーヒーの木を贈ったことに始まる。その5年後に当時イギリスの統治下にあったジャマイカ総督は、マルティニーク総督から1本のコーヒーの木を譲り受ける。それがジャマイカコーヒーの歴史の始まりとなった。 ジャマイカの首都キングストンに近く、世界遺産にも登録されているブルーマウンテン地区には特有の気候があるが、それは決して温暖と言える気候ではない。毎年襲い来るハリケーンをはじめとする過酷な自然災害にさらされ、ブルーマウンテンの木々はそれに打ち勝っていく。そうして実ったコーヒーは収穫され、さらに厳しい品質検査を乗り越えていくことになる。出荷されるのは「試練に打ち勝った勝ち豆」だけだ。これがブルーマウンテンが「勝ち豆」と呼ばれる所以だ。 1967年1月9日、この日はジャマイカのコーヒー関係者にとって忘れられない日となった。「勝ち豆」ブルーマウンテンの最大量を載せた船は、今を遡ること55年前のこの日に、初めて日本に向けてキングストンの港から出航した。そこからジャマイカと日本を繋げる「民間大使」として、ブルーマウンテンコーヒーは大きな役割を果たしている。 2020年に着任した現在のショーナ-ケイ・リチャーズ駐日ジャマイカ大使は、この「ジャマイカ ブルーマウンテンコーヒーの日」をとても大切にしている。コロナ禍が幾分落ち着いた今年、リチャーズ大使は、ジャマイカ国旗にある3つの色とその意味を意識した大振袖を着用し、コーヒー及び観光業関係者をもてなした。黒地の大振袖にゴールドの袋帯、グリーンの帯留と帯揚げといういでたちは、力強く想像的な人々(黒)、太陽の光と活気(ゴールド)、天然資源に恵まれた土地(グリーン)を意味する。 女性の第一礼装である大振袖の着用は、日本人にとっても決して楽なものではない。しかし、リチャーズ大使は日本の礼儀に則り、日本式に髪を結い、大振袖を着用し、日本のマナーによって人々を迎えた。この心使いに、ジャマイカが持つホスピタリティを感じる関係者は多く、さらには「来年の着物はきっとグリーンに違いない」という憶測まで飛んだ。 また、今年は海外渡航も緩和されたことがあり、ジャマイカの観光についても紹介された。ユネスコ創造都市ネットワークの加盟都市キングストンはまた、豊かな文化を持ち、音楽はボブ・マーリー、美術では彫刻家・画家のマリカ・レイノルズ、美術の母といわれたエドナ・マンリーに代表されるように、文化も豊かだ。また、リチャーズ大使の毎年のおもてなしの心にも見られるように、ジャマイカの人々は心優しく、海外からの旅行者を歓迎している。 ブルーマウンテンコーヒーを飲んで遠いジャマイカへ思いを馳せ、がんばった自分へのご褒美としてこの美しい国を訪れてみたい。 【関連記事】

三浦文彰&ヴァルヴァラ 最高のデュオが奏でる名曲の数々

三浦文彰&ヴァルヴァラ 最高のデュオが奏でる名曲の数々

2009年、わずか16歳で世界最難関とも言われるハノーファー国際コンクールに優勝し、国際的に一躍脚光を浴びた三浦文彰。今年、30歳を迎えるヴァイオリンのスーパースターは、新進気鋭のピアニスト、ヴァルヴァラとデュオを組み、ヴァイオリン・ソナタの名曲を演奏する。 チケットは大好評発売中。 詳細: 2023年3月4日 (土)公演  13:15開場/14:00開演         【会場】紀尾井ホール                               【出演】三浦文彰(ヴァイオリン) ヴァルヴァラ(ピアノ)                 【曲目】 【入場料】S¥7,000 A¥5,000                            2023年3月5日 (日)公演  13:15開場/14:00開演  【会場】紀尾井ホール                                【出演】三浦文彰(ヴァイオリン)                          ヴァルヴァラ(ピアノ)                       【曲目】 【入場料】S¥7,000 A¥5,000

国際婦人デーを記念して 日本在住コンゴ人女性協会がイベントを開催、アフリカのファッション・ビュッフェを楽しもう!

国際婦人デーを記念して 日本在住コンゴ人女性協会がイベントを開催、アフリカのファッション・ビュッフェを楽しもう!

2023年3月18日、秋葉原スクエアビル7階で、日本在住コンゴ人女性協会が交流イベントを開催。カラフルなアフリカンプリントによるドレスをまとったモデルたちも登場。 ビュッフェでは本場のコンゴの味を楽しめる。日本にいながら、アフリカを楽しめるイベントだ。 日程:2023年3月18日 午後4時から10時まで 場所:秋葉原ハンドレッド·スクエア·クラブ                       住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋5-3-2                   秋葉原スクエアビル7階                         参加費:3000円 (飲食料込)

「流体の美学」展 好評開催中

「流体の美学」展 好評開催中

昨年から執行草舟コレクション/戸嶋靖昌記念館で開催されている「流体の美学」は重厚で見ごたえのある展覧会だ。 《「流体」とはいかなるものか》という「問い」をベースに企画されたこの展覧会を構成するのは執行草舟コレクションだ。新たに所蔵されたコシノジュンコの作品を含め、伊勢内宮禰宜荒木田宇氏(あらきだうじ)、高橋泥舟、山口長男、写真家の鈴木弘之らの作品が展示されている。 コシノジュンコは、大分県立美術館での大展覧会開催、瀬戸内国際芸術祭への展示など、美術家としての活躍が目立つ。ハイアットリージェンシー東京ベイには多くの作品がある。この展覧会では、比較的小さな作品の展示であるが、画面の空間を活かした構図とミクストメディアにより自由に描いた迷いのない線による描写が魅力的だ。夫君でもある写真家の鈴木弘之は、北京を訪れた時にインスピレーションを受けたという故宮の柳の木を撮影している。その木々の語り掛けるような描写を一瞬に捉えた構図が素晴らしい。 また、この展覧会には執行草舟コレクションの真骨頂でもある戸嶋靖昌の作品も十数点展示されている。この作品群は非常に見ごたえがあり、鑑賞者の足をその前で立ち止まらせる。 戸嶋靖昌は、スペインに長く暮らし、ベラスケスなどの影響を強く受けたという。残念ながら戸嶋靖昌は2006年に逝去している。今、日本人はこうした優れた画家の画業を見直すべきではないか。 この展覧会は好評のため、期間が延長されている。多くの美術ファンに診てもらいたい珠玉の展覧会だ。 開催期間:2022年10月11日(火曜日)~ 2023年2月28日(火曜日) 開館:火曜日〜土曜日 11:00〜18:00/日曜日、祝日、月曜日定休    ※来館前に事前予約、連絡が必要 場所:執行草舟コレクション/戸嶋靖昌記念館 (東京都千代田区麹町1-10 バイオテックビル内) 最寄駅:半蔵門線半蔵門3,4番出口から徒歩2分、有楽町線麹町駅3番出口から徒歩6分 地図:こちらよりご確認ください 連絡先:03-3511-8162 公式HP:執行草舟公式Website(http://shigyo-sosyu.jp/art/index.html) 「流体の美学」展のご案内は、執行草舟公式Website ”What’s New”のページよりよりご覧になれます

ジャズクラブ”D-Bop”Club Sapporo 凍てつく札幌の夜にクリスタルなジャズを聴こう!

ジャズクラブ”D-Bop”Club Sapporo 凍てつく札幌の夜にクリスタルなジャズを聴こう!

ジャズの本場ニューヨークの実力派アーティストから、国内著名アーティストが連日出演する”D-Bop” Jazz Club Sapporoは北海道のジャズシーンをリードしている。2023年2月3日には、スウェーデン出身のプレイヤーを中心としたジャズナイトが繰り広げられる。 出演はEXILEメンバーの日本武道館でのコンサートでの演奏を始め、日本で大活躍しているビョーン・アルコとスウェーデン、米国、日本などで活躍するジャズシンガーのアンナ・ヘーグベリなど。アンナ・ヘーグベリは、その澄んだクリスタルなヴォイスでスウェーデンの伝統曲、北欧スタンダード曲、ビョーン・アルコのオリジナル曲などを演奏する。 ▶︎北欧ジャズ Experience Live At “D-Bop”Jazz Club Open 19:30 Start 20:00~2stage 出演: 来場チケット                                   LC:¥3,000-/当日¥4,000-/学割¥1,500-(各要Order)               簡単スマホ予約 はこちらから ハイクオリティーサウンド4カメラによる、配信視聴チケットはこちらから 札幌”D-Bop” Jazz Club 公式HP…

Ambassador Roxane de Bilderling

駐日ベルギー王国大使館 ロクサンヌ・ドゥ=ビルデルリング特命全権大使に聞く。ポストコロナのサステナビリティ、女性の社会的地位向上、LGBTQの権利、文化的慣習の重要性とは?

ロクサンヌ・ドゥ=ビルデルリング駐日ベルギー大使は、このインタビューにおいて新型コロナウイルス感染拡大以降のベルギーと日本の文化的なつながりの強化、維持の重要性について語っている。その分野は、経済発展、持続可能なエネルギー利用という観点にとどまらず、女性の権利、ジェンダー平等、LGBTQコミュニティなど、顕著な現代的課題との関連にまで及ぶ。さらに漫画など、ベルギーと日本が共有する文化的慣習の重要性、美食、サイクリング、ジャズ音楽など、サブカルの分野でもベルギー文化の強みを支持することにも触れている。   ロクサンヌ・ドゥ=ビルデルリング駐日ベルギー大使インタビュー 質問:ベルギーと日本は共通の価値観や関心を持っており、そこからも友好的な二国間関係を築いてきているとお聞きしております。最近の経済ミッションの訪日によって、その関係はどのように発展したのでしょうか。 最近、東京で行われた経済ミッションは大成功を収めました。ベルギー経済ミッションとしては過去最大規模の来日となりました。ミッションには企業、各業界団体、学識経験者など多様な分野から575名が参加しました。その目的は、グリーン・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーションの課題の取り組みでは、クリーンで革新的な技術に明確に焦点を当て、両国間の経済関係を更新し、強化することにありました。現在は技術革新と脱炭素化における持続可能なビジネスと投資の機会の実施をフォローアップする必要があります。 私はこのミッションを通じ、ベルギーと日本との関係の深さと多様性を確認することができました。この3年間、私たちが取り組んできたことの集大成のような気がしています。 このミッションは現在のベルギー国王陛下の妹であるアストリッド王女殿下が率いています。その背景には、日本の皇室とベルギーの王室が非常に親密な関係にあることもあります。その関係性は両国の関係を近くする要因のひとつともなっています。 質問:日本における女性の社会的地位向上について、個人的なご見解やお気づきの点があればお聞かせください。 このテーマは、私たちの今回の経済ミッションの重要な側面でもありました。12月9日に、同志社大学で「ビジネスと人権-ビジネスにおける男女平等に対する若者の意識-」と称するセミナーを開催致しました。このセミナーは男女共同参画に焦点を当てたビジネスと人権に関する内容でしたが、非常に満足な結果が得られました。このセミナーのために同志社大学を選んだのは、ベルギーとの提携があったからです。同志社大学はベルギーと活発な交流があり、女性の学長がいる名門大学です。私たちは男女平等の問題、労働市場への期待、企業が女性を支援・登用するために十分な取組みを行っているかなどについて、学生たちに自分の考えや意見、認識を表明するよう学生に語り掛け、奨励いたしました。そしてその反応を聞いた後で、パネルディスカッションを行いました。このディスカッションにはパネラーとして、著名な女性経営者2名とベルギービジネス連盟の会長が参加しました。 日本では、女性が母親や配偶者としての役割とキャリアを両立させたいと考えていることもあり、この問題に強い関心を寄せていますね。私の個人的な経験からも、安心してキャリアをもつことは可能だと若い女性には伝えたいですね。私は幸運にも、サポートしてくれる夫に出会いました。もちろんこれは私の視点であって、他の女性も同じというわけではありません。私は闘う必要がありませんでした。このような機会に恵まれたことは、とても幸運でした。もしそうした私の経験が他の女性の役に立つのであれば、喜んで共有したいと思っています。 日本では、女性のロールモデルが少ないという共通の認識があるようです。多くの若い女性は今、男女平等を支持しており、また、それを推進する女性を日本国外に求めています。 ですが、日本にも良い例がいくつかあります。私が出会った多くのロールモデルと思える方々は、若い女性と意見を交換し、関わり合いたいと考えているようですね。ですが、そうするためのプラットフォームがいつも用意されているわけではありません。私たちは、男女平等と女性の社会的地位向上に関するイベントをいくつか開催しています。2年前には、STEM(「Science」(科学)、「Technology」(テクノロジー、実用学)、「Engineering」(工学)、「Mathematics」(数学))で活躍する女性についてのイベントを開催いたしました。その際、ロールモデルとなる方々を数名招待いたしました。また、この分野に関心のある女子高生を招き、少人数のグループでロールモデルとディスカッションも設けました。日本の若い女性にとって、このようなテーマについて相談できる人を見つけるのは難しいかもしれません。そういった背景もあり、彼女たちは本当に熱心でした。しかし、状況は変わりつつあると思います。私はよく他の女性大使や同僚と会い、この問題に関心を持っている人たちに声をかけるようにしています。日本は最近、「国際女性会議」の開催を終え、新型コロナウイルスのパンデミックに直面する女性の社会的地位向上について取り上げました。現在の日本政府はこの問題を推進し、支援することに熱心であることが明確になりました。 質問:大使は着任されて3年ですが、その間に世界経済の浮き沈み、新型コロナウイルス感染拡大状況も目の当たりにされていらっしゃいました。2023年に向けて、今、お仕事は通常に戻ったと感じていらっしゃいますか? まだ通常な状態には戻っていないと思います。まだ新型コロナウイルスが意識にある人もいます。しかし、活動のレベルという点では、以前の状態に戻りつつあるのは確かです。また、伝統的行事が再開されつつあることも実感しています。人とのつながりも少しずつ復活しています。そういう意味では、私たちの今回の経済ミッションの来日は良いタイミングだったと思います。徐々にではありますがもどりつつあります。ですが、まだ新型コロナウイルスのパンデミックから完全に解放されたわけではありません。 Q:日本ではベルギーの文化はどのようにとらえられているのでしょうか。また、ベルギーへの日本人観光客は増えているのでしょうか?今年の動向はいかがでしょうか。増加傾向といえますか。 日本でのベルギーのイメージはとても良いと思います。まず、日本の投資家はベルギーにおいて強い存在感を示しています。日本のみなさんがベルギーに抱いているイメージは、高品質の消費財、仕事、観光、芸術という4つの要素が含まれており、また重要です。2015年10月にはブリュッセル – 東京間の直行便が再就航となったこともあり、日本のビジネス関係者、観光客にとってベルギーは非常に魅力的な国となっています。ベルギーの「チョコレートとビール」のイメージは、日本ではとても重要なブランドであり、さらに質の高いガストロノミー、工芸品、歴史と伝統の国としても捉えられています。私たちはこれまで、日本人観光客のベルギー訪問を制限したことはありませんが、ここ数年の渡航制限は観光客の来訪の妨げになってきました。現在では、すべての制限や措置が解除されています。ヨーロッパと日本を結ぶフライト便数にはまだ制約があります。これは多くの航空会社がロシア領空上空の飛行を避けているためで、ウクライナ戦争の影響が大きいと言えます。 質問:漫画『タンタン』など、両国で漫画の人気があることはよく知られております。日本ではベルギー文化のどのような点が重要だと思われますか。 ステレオタイプに対抗したいと思いつつも期待があるため、ある意味ステレオタイプを維持することになってしまいます。ベルギーといえば、チョコレート、ビール、フライドポテトなどにも代表されるように、ポジティブなイメージがあります。しかし、それ以外の側面も強調したいのです。例えば、ベルギーと日本が共有している文化的な側面には漫画が含まれます。この伝統的流れは、日本の漫画文化につながるものです。「タンタン」は、残念ながらフランスの漫画のキャラクターと間違われることもあります。他にも漫画『スマーフ』は知られているかもしれません。 しかし、それ以外にも私たちは非常に興味深い文化的側面を強調したいと考えています。ベルギー経済ミッションの期間中、京都でベルギーのアーティスト、ジャン・ミシェル・フォロンの展覧会も開催することができました。美しい絵画、彫刻、素晴らしい写真を制作するアーティストです。 また、「ベルギー文化のもう一つの大きな特徴はジャズです。サックスがベルギーで発明されたという事実がそれを物語っています。優れたジャズ・ミュージシャンが多数います。スポーツでは、サッカーベルギー代表の「赤い悪魔」も知られています。また、ベルギーはサイクリング文化でも知られています。私は日本で開催されるサイクリングイベントに数多く招かれています。そのひとつですが、さいたま市の「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」はベルギー人が出場し、優勝しました。現在の自転車競技の世界チャンピオンもベルギー人です。…

メキシコが生んだ世界で活躍するピアニスト、アレハンドロ・ベラ、メキシコ大使館で演奏

メキシコが生んだ世界で活躍するピアニスト、アレハンドロ・ベラ、メキシコ大使館で演奏

ラテン、カリブ諸国は豊かな文化を持っていることは有名だが、クラシック音楽の分野にも優秀な演奏家を数多く輩出している。 アルゼンチン出身のマルタ・アルゲリッチ、ダニエル・バレンボイム、チリには伝説的なピアニスト、クラウディオ・アラウがおり、最近では、ベネズエラア出身のグスターボ・ドゥダメルが世界の楽壇をリードしている。ブラジルには惜しまれながら昨年逝去したネルソン・フレイレがおり、メキシコからはフランチェスコ・アライサを始め、ラモン・バルガスなど多くのオペラ歌手が世界のオペラハウスに出演し、指揮者のエドアルド・マ―タは、若くして飛行機事故により逝去したが、何度も日本でオペラ歌曲を指揮し、日本のオペラファンには忘れられない存在だ。メキシコはマヤ文明とその遺跡群で知られるだけでなく、クラシック音楽大国でもある。 そのメキシコからアレハンドロ・ベラが来日し、駐日メキシコ大使館で待望のオール・メキシカン・プログラムを演奏した。 このプログラムにはメキシコを代表する作曲家、マニュエル・ポンセが作曲した「エストレリータ 小さな星」も含まれていた。これは伝説的なバイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツが編曲し、演奏したことでも知られる名曲だ。ポンセはパリ音楽院在学中に、アンドレアス・セゴビアと親しくなり、後にこのスペインが生んだ天才ギタリストの為に作曲をしている。 ベラはこの母国が生んだ大作曲家の曲を、メキシコ人としての感性を込めて、他のピアニストには出せない情感溢れる表現をもって演奏した。その表現と演奏に、全ての聴衆は酔いしれ、今まで知られていなかったメキシコ音楽の真髄を知ったことだろう。 このコンサートは、優れた演奏家を日本に紹介し続けている「NPOちきゅう市民クラブ(会長:千代鳥 モーミンウッディン(Mominuddin Chowdhury)、副会長/事務局長:川島佳子)」によって企画された。開催については、自国の優れたカルチャーを紹介し続けている駐日メキシコ共和国メルバ・プリーア大使の支援と尽力があった。 オール・メキシカンプログラム アレハンドロ・ベラ (オフィシャルHP) アレハンドロ・ベラ(ピアニスト)プロフィール メキシコ、コアウイラ州ピエドラス・ネグラ出身。世界を舞台に活躍するメキシコを代表するピアニスト。彼の演奏は、神秘的で壮麗な世界を創り出し、聴衆を研ぎ澄まされた美の世界へと誘う。情感あふれる深い表現力は、まるで映像を見ているような生き生きとした情景を聴衆に想起させる。 幼少よりピアノを母、オルテンシア・ベラ・マンテに師事。後にピアニストで作曲家のロバート・アバロンにテキサス州で師事。11歳から15歳の4年間、毎週日曜日母の運転で、片道200キロ、パスポートをもって、メキシコからアメリカ、テキサスにピアノを習いに通った。10代の頃、著名なピアニスト、指揮者であるマエストロ、クリストフ・エッシェンバッハに見いだされ、シカゴ シンフォニー、ヒューストン シンフォニー、オランダのロイヤル・コンセルト・ヘボウ、そして、イスラエルやカナダ、ドミニク共和国のオーケストラで、共演している。マエストロのアドバイスにより、ニューヨークのジュリアード音楽院に入学。ヨヘベ・カプリンスキーに師事し、学士号、修士号を取得。ジュリアード音楽院でのソリストのためのコンクールで優勝。ニューヨークのスーザン・ローズ音楽基金賞を2年連続受賞。演奏家としての活動の他、多くの時間を音楽教育にも注いでいる。ヒューストンAWTY国際スクールで教え、ヒューストンでは、「アーチスト・イン・レジデンス」として数年間滞在した。また、メキシコのサカテカス大学、台湾、ヨーロッパの大学でもマスタークラスを開催。近年では、プラハ、ブダペスト、東京、台湾、トロント、モントリオール、ローマ、ウイーン、キエフ、ベルリン、パリ、ベルギーでソロリサイタルを開催。メキシコ・シティ国立芸術センター他、数々のメキシコの文化施設での演奏会、フェスティバルに出演し、輝かしいキャリアを積み、その卓越した演奏で喝采を浴びている。2012年秋、2013年春、2015年から2019年まで毎年、日本ツアーを行い、名古屋、岡山、群馬、広島、沖縄各地で演奏会。都内では、東京国立博物館、イタリア文化会館、メキシコ大使公邸等でも度々演奏している。NHKB1「エル・ムンド」に出演し、好評を博した。2014年4月、12回もグラミー賞を受賞したRafaSardina 氏のディレクションにより、チェコ共和国で、中東和平をテーマにした壮大なピアノ コンチェルトをチェコのオーケストラと録音。2019年メキシコで世界初演を果たす。コロナ禍を経て、3年ぶりの来日となる。 【関連記事】

井上道義作曲のミュージカルオペラ『A Way from Surrender〜降福からの道〜』世界初演

井上道義作曲のミュージカルオペラ『A Way from Surrender〜降福からの道〜』世界初演

世界的な指揮者でもある井上道義が、太平洋戦争を挟んだ激動の時代を生きた両親の人生と自身のルーツを基に、10年の歳月を要して書き上げた自伝的オペラ。 井上道義と度々協演しているコロンえりかがここでも重要な役を演じている。 コロンえりかは、聖心女子大学・大学院で教育学を学んだ後、英国王立音楽院を優秀賞で卒業。同年ウィグモアホールデビュー。 モーツァルト・フェスティバル(ブリュッセル)、宗教音楽祭(フィレンツェ)、日英国交150年記念メサイア(ロンドン) でソリストを務めるなどオラトリオの分野に力を注ぐ。 代表曲は、父エリック・コロンが平和への願いを込めて作曲した「被爆のマリアに捧げる讃歌」。 東日本大震災以降、エル・システマジャパンの立ち上げから、ホワイトハンドコー ラス設立にも携わり、耳の聞こえない子どもを含む様々な障害を持つ子どもたちに音楽を教えている。現在エルシステマ・コネクト代表理事、ホワイトハンドコーラス NIPPONの芸術監督を務めている。セイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使の夫人でもある。 1月21日(土)午後2時から すみだトリフォニーホール公演:ミュージカルオペラ(オペラ形式) 1月23日(月)午後7時から サントリーホール公演:演奏会形式 詳細は:https://www.njp.or.jp/concerts/230121 または オフィシャルFacebook 総監督(指揮/脚本/作曲/演出/振付)井上道義 タロー(テノール):工藤和真 正義(バリトン):大西宇宙 みちこ(リリック・ソプラノ):小林沙羅 マミ(ソプラノ):宮地江奈 エミ(メゾ・ソプラノ):鳥谷尚子 ピナ(ソプラノ):コロンえりか アンサンブル

「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展 開催

「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展 開催

「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」展 開催 2022年12月21日(水曜日)~2023年5月28日(日曜日) ニューヨークのブルックリン美術館、パリ装飾芸術美術館等でも開催された巡回展覧会がいよいよ日本でも開幕した。 クリスチャン・ディオールと言えば、世界の女性を魅了してきたデザイナーだ。ディオール本人に続き、そのメゾンはイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジョン・ガリアーノ、ジャン=フランコ・フェレ、現在のマリア・グラツィア・キウリに至るまで6人のデザイナーがその後継者としてメゾンとその美学を守り、いつの時代もファッションをリードしてきた。 しかし、この展覧会を通して多くの鑑賞者が感じたのは、ファッションという存在だけではないディオールの美学ではないだろうか。ファッションとは流行ではなく、むしろ普遍的とさえも言える。いいデザインの洋服には流行はない。ここではディオールとその周りを囲む多くの美術関係者によって、現代美術にまで昇華されたディオールの真髄を見ることができる。 この展覧会は「戦後パリと“ニュールック”」、「夢と形」、「ディオールと日本」、「芸術とファッション」と言った幾つかの章立てによってキュレーションされている。しかしこの展覧会を思いきり引き立てているのは重松象平によるセノグラフィーではないだろうか。 どの章にも舞台芸術のような美しいしつらえがその作品に寄り添う。セノグラフィーは英語ではScenographyとつづる。これはSceneプラスGraphicを意味している。つまりその場、景色を視覚、聴覚を通じて空間的に把握することだが、重松象平が作り出したその空間美は見事としか言いようがない。 「ディオールと日本」という章では、重松は日本の紙と木の文化が創り出す曲線とはかなささえも感じさせる美しさを見せている。日本とクリスチャン·ディオールは非常に長く、華麗な関係を持ってきた。ディオールという素晴らしいデザイナーの名前を広く日本人が知るようになったのは、皇太子(現上皇陛下)と正田美智子嬢(現上皇后陛下)のご成婚からではないだろうか。 現在の上皇后陛下のご成婚に際し、ディオールはそのウェディングドレスをデザインした。民間初の皇太子妃は明輝瑞鳥錦と呼ばれる厚手のシルクタフタを使った、日本とフランスの文化が融合した素晴らしいウェディングドレスをまとった。それはクリスチャン・ディオールによって着手されたものであり、その後、そのデザインを完成させたのは、わずか21歳でクリスチャン・ディオールを引き継いだイヴ・サン=ローランだ。この「ディオールと日本」という章では、その時代の画像も、また、ファッションモデルのようにポーズをとる高松宮妃殿下のポートレートなども見ることができる。 更に次の章に進んでいくと、新たなセノグラフィーと共にディオールが発表し続けた美しい作品が出てくる。そして、突然上から見るように現れるアトリウムの空間に改めて圧倒される。そそり立つ大きなオベリスクにも見える階段のような空間には、ディオールの制作した夜会服が展示されている。どのドレスもあまりにも豪華であり、時空をこえてその美しさを誇るかのように立っている。鑑賞者はその壮大で華麗な空間にあって、その圧倒的なディオールの美意識には抗うことができない。ふといつの間にか、自分がこの豪華なドレスをまとっているかのような幻想にさえ囚われる。 ディオールはデザイナーになる前は建築家を志していたという。人体は立体的であり、ファッションデザインもまたとても立体的だ。ディオールは立体ということを誰よりも理解していたに違いない。会場のセノグラフィーを手掛けた建築家、重松象平はディオールの「立体感」を現代に見事によみがえらせている。 クリスチャン・ディオールとは、服飾デザイナーという枠を超えたフランスが生んだ稀有の天才アーティストであったことは間違いない。素晴らしい!という言葉とともに、ため息が出る展覧会だった。

伝統工芸が結ぶシルクロードの美 開催のお知らせ

伝統工芸が結ぶシルクロードの美 開催のお知らせ

ユーラシア大陸の地域、国々では、シルクロードを通じて人々や伝統工芸品が行き交い、各々の文化と融合し、さらに独自の文化を育んできた。 コロナ禍のため、2度も延期となったシルクロードとその周辺地域の伝統工芸や音楽を披露する展覧会イベントがやっと開催されこととなった。 シルクロードを囲む国々の文化と、紀元前から母から子へ伝承されてきた手仕事には目を見張ることがある。この展覧会イベントでは、そうした美術工芸、手仕事を中心に、その地域の文化、図柄の意味などを含め、かなり深い部分まで見ていくことができる。 その中でも注目を浴びているのは、長い伝統と文化を誇るパレスチナ刺繍ではないだろうか。多彩な図柄と色合いによって独自の文化を守り続けてきたパレスチナ刺繍は、日本人の美的センスをとりいれたことにより、パレスチナ刺繍帯として生まれ変わっている。こうして新しい文化を取り入れることで、現地の女性の雇用も創出し、教育にも一役買っている。 SDGsにも通じ、伝統的な文化と新しい文化の両方を鑑賞できるこの展覧会イベントにぜひいらしていただきたい。 開催日時: チケット代: 5,000円(一枚)  開催会場: 九段ハウス(旧山口萬吉邸、登録有形文化財、通常非公開) 公式HP:https://kudan.house/ 東京都千代田区九段北1-15-9 (東京メトロ九段下駅1番出口より徒歩5分) 詳細・チケット情報:こちらから(https://2023-silkroad.peatix.com/) プログラム: 【オンライントークショー「文化の多様性、国際協力とモノヅクリ」】 ※本プログラムのみ1月14日(土)20:00-21:10 ※視聴URLを別途お送りします 出演:                                       ヴィヴィアン佐藤(美術家、文筆家、非建築家、映画批評家、ドラァグクイーン)    小幡星子(株式会社EARTHRISE代表)                        松浦元子(パキスタン・ワックスペインティング帯プロデューサー)         …

ポストコロナのツーリズムとは?『太平洋同盟Alianza del Pacíficoによる観光振興』

ポストコロナのツーリズムとは?『太平洋同盟Alianza del Pacíficoによる観光振興』

この度、2023年度の活発なツーリズムへの誘致を目的としたセミナーがペルー大使館で開催された。参加したペルー、メキシコ、コロンビア、チリの4か国は太平洋同盟(Alianza del Pacífico)を構成している。 太平洋同盟は3つの「統合の力」を発揮することを目的としている。その3つとは、 2011年に太平洋同盟が構成されて以来、外国投資誘致、ビジネス振興においては競争力のある様々な優位性を提供することができている。その結果として、この同盟に参加している4か国は、ラテンアメリカ及びカリブ地域において重要な地位を確立してきた。経済的競争力がある国々としてゆるぎない評価を得てもいる。そうした評価もあり、太平洋同盟加盟国はすでに世界80カ国以上と協定を締結し、アグリビジネス、製造業、鉱業、サービス業などを含む各分野のモノとサービスの輸出において世界的にも高い割合を示すようになった。 そうした国家を超えた発展を可能とした太平洋同盟加盟国は、ビジネスの活性化とさらには雇用の創出を可能としてきた。 コロナ禍がやや収まった現在、人々の注目はラテンアメリカおよびカリブ諸国への旅行に向かっていることは確かだ。太平洋同盟では日本におけるラテンアメリカ諸国およびカリブ地域への観光客の誘致を重視しており、航空会社、旅行社などとコラボしながら、日本からのツーリストの本格的な誘致に乗り出してきている。 太平洋同盟に加盟している国々には、魅力的な観光資源が多い。人々に感動をもたらすツーリズムに適した都市、自然、食、体験が満載だ。メキシコには、アステカ帝国の都でもあり、あらゆる時代を今もまだ感じることのできるメキシコ・シティがある。また、そのわずか50キロ北にはテオティワカン遺跡があり、観光には非常にアクセスがいい。この遺跡もまた世界遺産にも登録されている。コロンビアは大自然に恵まれ、多種多様な野鳥、昆虫の生態、蘭などの鑑賞ができる。首都メデジンには世界的に有名な画家、ボテロが制作した彫像が点在する公園、メデジン・カテドラルなどがあり、観光客には見逃せない地域だ。ペルーに至っては世界のツーリストの憧れとも言えるマチュピチュ遺跡、ナスカの地上絵などが存在し、世界のツーリストの憧れの地でもある。また、日本へのおいしい食品の輸出で知られるチリに代表されるように、極上のワインの産地でもあり、海の幸もおいしく、食事への期待は大きい。 こうした観光資源を最大限に活かすため、日本からよりアクセスしやすいよう、フライトの増便、航空便の接続などにも最大限の配慮が示されている。確かにラテンアメリカ、カリブ地域には今迄は遠いというイメージが先行してきた。しかし、その魅力を知れば、誰もが訪れてみたい地域だ。 外国投資の直接誘致において、ある程度の成功を収めつつある太平洋同盟が次に目指すものは、日本を含むアジアからのツーリズムの誘致だ。また、日本もまた、今迄訪れることが少なかったラテンの国々への旅に大きな期待を持っている。ラテンアメリカおよびカリブ地域については、日本人は「地球の反対側」という表現をしてきた。今、新たな体験とツーリズムを求めて、地球の反対側に行く時が来たと言える。 太平洋同盟 Pacific Alliance Alianza del Pacífico についてはこちらから。 【関連記事】

一般社団法人日本ラテンアメリカカリブ振興協会 本当のキューバの魅力を紹介:「カリブ海のリズム〜キューバの魅力〜」

一般社団法人日本ラテンアメリカカリブ振興協会 本当のキューバの魅力を紹介:「カリブ海のリズム〜キューバの魅力〜」

キューバの歌手カルロス・セスペデスと音楽バンドによる演奏、プロのダンサーによるダンスレッスン (サルサ、ルンバ、チャチャチャ)を楽しもう!駐日キューバ大使館の協力により本場のキューバ料理とお酒を味わうチャンス。キューバの特産品も販売。 日時: 2023 年 2 月 4 日土曜日 12:00-16:00 (開場は午前 11 時 30 分) 場所:〒105-7590 東京都港区海岸 1-7-1  東京ポートシティ竹芝オフィスタワー8F 竹芝ポートスタジオ(竹芝駅徒歩 2 分、浜松町駅徒歩 4 分、大門駅徒歩 5 分) ドレスコード:スマートカジュアル 参加費: 申し込み:下記リンクよりお名前、人数、メールアドレスをご入力の上、お支払い方法をお選び下さい。 https://forms.gle/kUU2w634msrpaH3j8 このイベントで集められた資金の一部はキューバの福祉組織に寄付され、経済的な困難にある人々の教育に使われます。 新型コロナウイルス感染症対策:会場では検温、手指消毒、マスク着用。 新型コロナウイルス感染症による大規模災害や政府による新たな制限措置が発令された場合、イベントは中止。中止の際は、イベントの準備費用と料金の払い戻しにかかる銀行手数料をカバーするために、入場料の半額を払い戻します。 ご質問またはご質問:info@japolac.com まで 主催:一般社団法人日本ラテンアメリカカリブ振興協会(JAPOLAC) 〒104-0045 東京都中央区築地 4-12-2-806 TEL:(日本語) 03-6264-3858 、(英語、スペイン語)03-6264-3859  メール:info@japolac.com  HP: https://japolac.com/jp 協力:駐日キューバ共和国大使館 スポンサー:

アフリカと日本の子供たち異文化交流会音楽で広がる友情の輪

アフリカと日本の子供たち異文化交流会音楽で広がる友情の輪

中東、アフリカ諸国の大使館関係者を中心として、異文化交流を続けている日本中近東アフリカ婦人会(NCAF 会長:小池那智子)は、この度、ラルビ·カティ大使及びファヒマ·カティ夫人の全面的な協力の下、アルジェリア大使公邸で児童合唱団「どんぐりのド」と共に、音楽を楽しむ会を開催した。 「どんぐりのド」は、渋谷区西原周辺及び中野区南台周辺の幼児から中学生を中心に活動する児童合唱とリトミックのグル―プとして1999年に設立された。その20年以上に及ぶ歴史において、声を出して歌い、身体で音楽を感じる活動は、子供達の豊かな感性を高めると、とても高く評価されている。 今回のイベントには、アルジェリア、エチオピア、ジンバブエ、マリ等合計6ヵ国、8名のアフリカの子供達が参加した。最初の自己紹介では、「どんぐりのド」の子供達もアフリカ側からの子供達もとても緊張していたが、最初に日本のわらべ歌「じっちゃこばっちゃこ」を一緒に歌い、向かい合って軽快に手拍子をお互いに取る「手遊び」をするうちに、すっかり打ち解けていった。同席してくださった大使ご夫妻も歌と輪に入ってくださり、子供達と一緒に手遊びをして下さった。 「どんぐりのド」のレパートリーは広く、どれもがとても楽しい。「赤い鳥小鳥」                   「七つの子」「靴が鳴る」など日本人なら誰もが知っている名曲が演奏されたが、どれも易しいメロディーであり、アフリカ側の子供達もすぐになじみ、一緒に歌の輪にくわわった。続いて演奏されたのはアフリカの人々の間で広く歌われている「ショショローザ」だ。これはアフリカ側の子どもたちがのびのびと、どんぐりのドの子供達と一緒に歌った。最後は「鬼のパンツ」を振付も交えていっしょに歌った。この曲はイタリアの名曲「フニクリフニクラ」をベースにしており、外国人にもなじみやすい。その振り付けは、パンツをはく動作などのユニークで、どの国の子供達も大喜びだった。アンコールは鳴りやまず、予定時間をすぎても、何度も繰り返して「鬼のパンツ」を子供達は歌い踊った。 演奏を楽しんだ後は、アルジェリア大使夫人によるおやつの時間が準備された。初めていただくアルジェリアのお菓子はとてもおいしく、日本の子供達も大喜びだった。 会が終わったとたんに「今度はいつやるの?」とあどけない瞳を輝かせて聞く子供達も多く、次回の活動への期待は大変大きい。 アフリカ諸国と日本の子供達の交流は、大きな思い出を子供たちの心に残した。こうした楽しい思い出を外国の子供達と持つことは、将来、とても大きな意味を持つのではないか。共に歌を歌い、踊り、手を取った仲間たち。そうした思い出を共有する人々は、将来、お互いに戦うことはない。それこそが音楽の持つ力かもしれない。 今、ウクライナへのロシアの侵略は世界を大きく変えている。それは決してよい方向への変化ではない。平和で、互いを尊重できる世界が我々にとっては理想ではないか。 どんぐりのド、日本中近東アフリカ夫人会とアルジェリア大使夫妻が企画したこの小さな活動は、子供達の心に小さな平和と語らいの芽をもたらしたとも言える。異文化交流が本当に大切な理由とは、将来、互いに理解し、平和を守ることに繋がることだからではないか。 参加者の期待にも応えるべく、次回の活動も是非ともやっていただきたい。