インタビュー:駐日エジプト大使館ガーダ·カーメル夫人

外交官の生活には出会いと別れがつきもの。駐在国では新しい文化の発見、人々との出会いなど、数えきれない思い出をもって帰国される方も多いはずだ。この度、4年間におよぶ任期を終了する駐日エジプト特命全権大使カーメル閣下のガーダ夫人に、お得意のお料理をメインに、「ある大使夫人がみた日本」を語っていただいた。

駐日エジプト特命全権大使夫人
駐日エジプト特命全権大使カーメル閣下の奥様、ガーダ夫人

何年間日本に滞在なさっていましたか。

ちょうど4年です。

この4年間を振り返ってみて、印象に残っている思い出はありますか?

10月11日に開催された皆様へのお別れのレセプションの際、夫が申しました通り、日本に暮らすことは比べることが出来ないような経験でした。これほど多様な文化を持つ国は、世界のどこにも無いのではないでしょうか。人々も文化も比類ないものだと思います。日本の人々は謙虚で親切で、礼儀正しく、正直です。今の世界が正直であるかと言えば、決してそうではありません。正直であるということは今、最も取り戻さなければいけないことです。日本に今も残る正直さ、それはこの時代において、賞賛されるべき点だと思います。

日本でも旅行を楽しまれ、一番印象に残っているのはどこですか?

やはり京都でしょうか。京都は、古い日本の雰囲気を感じさせてくれました。映画で見て思い描いていた日本の印象そのままです。特に金閣寺が好きでした。赤い鳥居の伏見稲荷もまた大変素晴らしかったです。伝統的な家々、家並みにも感動しました。

京都は日本に来る前に誰もがイメージしている様な伝統的な日本の姿を見せてくれました。東京はとてもコスモポリタンな都市ですが、京都には日本の伝統的な雰囲気が残っており、そこがとても好きになりました。

さて、お料理が大変お上手と伺いましたが、大使夫人として本国からの要人や外国のVIPのおもてなしをご経験なさっているでしょう。その際のお料理のポリシー、またご家族のために作るお料理との違いを教えていただけますか。

私たちが海外からの使節団、要人をお迎えする場合は、よりフォーマルな場でお料理を提供しなければなりません。もちろんお客様の国籍にもよっても工夫しています。日本の政府関係者には、伝統的なエジプト料理をお出し、エジプトからのお客様であれば、エジプト料理はお出しせず、インターナショナルなものを準備します。

私はインターナショナルな料理をお出しするのが好きです。また、自分で作ったお料理でおもてなしをするのが好きです。もちろん、大使館のシェフの協力も得ていますが、大使館でのビュッフェの場合、いつも半分くらいは私が作ります。

着席形式の食事会では、自分が好きなものをいくつか作ります。自分の手で作ってお客様にお出しすると、よりおもてなしの心を感じていただけると思えるからです。それが最良のおもてなしだと思っていますし、直接おもてなしをした方が皆さんに喜んでいただけますので、自分で料理を作ってお客様をおもてなしすることに喜びを感じています。

駐日エジプト大使館にてフォーマルディナーの様子
駐日エジプト大使館にてフォーマルディナーの様子 Photo courtesy of the Egyptian Embassy

お別れのレセプションでも、何かお料理を作られたのですか?

はい、小さなキッシュと七面鳥とサンドウィッチを数種類作りました。ビュッフェ形式にしたかったのですが、コロナの影響で難しかったのです。その状況で、最良の策を講じました。赤色の飲み物もお出ししたのですが、これはハイビスカスティーで、エジプトではとても伝統的な飲み物です。

エジプトからハイビスカスの葉を取り寄せ、水に一晩浸して茹でてから、好みに合わせて砂糖を加え、ローズウォーターも少し加えました。飲み物にローズウォーターを加えますが、これは伝統的なことではありません。普通はハイビスカスの葉から抽出した水と砂糖だけです。健康的でカフェインを含まない飲み物です。普段エジプトではラマダンの時期に飲みますが、外国に滞在している時はエジプトの伝統的な飲み物として皆さんにお出ししています。

乾燥ハイビスカス
乾燥ハイビスカス

日本の食材はお使いになりますか?

私は日本の食材が大好きで、よく使います。いろいろ試してみるのが大好きで、特に、ポン酢と味噌、それに柚子が好きで、日本で見つけた多様な種類のキノコも大好きです。エジプトでは、基本的に白いボタン型のマッシュルームしかありません。日本に来ていろいろな種類のキノコがあることを知って感動しました。もちろん、全部好きになりました。到着初日から、お店で売っている全てのキノコを買って食べてみました。他には、蓮根もいいですね。蓮根は中東にはありませんので、とても目新しい野菜です。ゴボウもそうですね。蓮根は、簡単に茹でてサラダにします。日本人の友人に教わった方法で、4分程度茹でて、お酢を加えるだけです。

お料理は基本的にエジプト料理ですか?

私のお料理のスタイルはほとんどがインターナショナルですね。日本に来てからは、日本の食材も積極的に取り入れるようにしています。お客様にはサラダとスープを一緒にお出しします。スープはクリームスープが多いでしょうか。鶏肉のクリームスープか、カボチャのスープなどです。日本の甘いカボチャが大好きで、カボチャのスープもよく作ります。

VIPの方々にはサーモンをよくお出ししています。サーモンは味噌でマリネにしておき、柚子を加えて焼いて、ドレッシングソースをかけ、野菜と一緒にいただきます。野菜はじゃがいもや芽キャベツなどが多いですね。

エジプト伝統料理の数々
エジプト伝統料理の数々

ご家族のためには何を作られますか?

先ほど写真をお見せしましたが、もちろん、ケーキも作ります。いつも主人の誕生日には、ケーキを焼いています。主人が大好きなこのメレンゲプラリネのケーキは、作るのに数日を要しますが、それでも毎年主人の為に作ります。主人がとても喜びますから。ですが、このケーキは1年に1度しか作りません。主人の誕生日にだけ作る、本当に特別なものです。このケーキは4層のメレンゲにヘーゼルナッツを入れて焼いたメレンゲ・フィリング・ケーキで、真ん中と一番上にキャラメリゼしたナッツが入ったプラリネクリームを入れたものです。 これは主人と子供たちの為の特別なケーキと言えるでしょうか。

私には息子が2人おりますが、1人はチーズケーキが好きなので、毎年誕生日には必ずチーズケーキを作っています。もう1人の息子は、毎年同じスタイルのケーキは嫌なのだそうで、毎年違うものを用意しています。買ってくるよりも自分で焼いたほうがより特別なものになると思うので作るようにしています。もちろん、買わなければならない時もあります。日本に初めて着いた時は、結婚記念日の数週間前でした。来日したばかりで、どこで材料を買えばいいのかもわからなかったので、ケーキを焼くことが出来ませんでした。

まだ日本のこともあまり知らなかったのですが、その時に買ったケーキはとても美しかったです。日本のお菓子作りは本当に素晴らしいです。日本のケーキ屋さんにはこんなに素敵なケーキがあるのだから、誰も自分で作る必要は無いのではでしょうか。

ガーダ夫人お手製ケーキ
ガーダ夫人お手製ケーキ

今まで様々な国に住んでいらっしゃるそうですが、食材や料理のスタイルを取り入れる上で、それらの国から影響を受けたことはありますか?

結婚前の、若い頃から料理をするのが好きだったと思います。父もまた外交の仕事をしておりましたが、結婚前はお菓子作りをするだけでした。私たち家族は世界中を旅し、その中からいつも少しずつ得ていったものがありました。料理の本を手にすることが私にとって喜びでした。どの国に行っても、私がどんなに料理好きかをみんなが知っており、料理本は買うだけでなく、プレゼントに戴いたりしていました。

ですので、私の料理は、これまでに訪れたすべての国の影響を受けていると思います。以前はイタリアに4年間住んでいましたので、イタリア料理もよく作りますし、子どもたちもイタリア料理が大好きです。パスタが嫌いな人はいませんよね。アラビア料理もよく作りますが、それはヨルダンで暮らしていた時の影響でしょうか。中東のレバント諸国のような料理が多いですね。もちろん、エジプト料理も作りますが、それは主にラマダンの時です。なぜかは分かりませんが、ラマダンの時期になると、みんなエジプト料理が食べたくなります。

日本の料理から何を学び、受け継いだものはありますか?また、日本から持ち帰りたい素材、調理法はありますか。

お蕎麦が大好きですので、帰国に際し、お蕎麦を沢山買いました。また、日本独特の色々な調味料も持ち帰るつもりです。私はソースやペーストなどの薬味が大好きなので、ここでいろいろな種類のソースやポン酢、柚子などを試してとても満足しました。ぜひ私の国に持って帰りたいと思います。息子に沢山買ってきて、と頼んでいます。

こうした薬味などはエジプトにはありませんし、エジプト人は日本の食材についてまだよく知りません。エジプトでは最近、この種の食材について学び始めたばかりです。日本の調味料はとてもエキゾチックです。お菓子作りの為の材料として抹茶も買いました。抹茶は飲むよりも、お菓子作りに向いていると思います。色も味も好きです。

 

ガーダ夫人お得意のお菓子作り
ガーダ夫人お得意のお菓子作り

食の革命についてはどう思いますか?

日本における食の革命は、世界中どこの国と比べても全く異なります。例えば、日本には濃縮スープや、インスタントのパンプキンスープ、コーンスープなどが沢山売られています。買って食して見ましたが、全てとても素晴らしいものでした。他の国では味わったことが無いぐらい、新鮮だと感じました。

他の国のインスタント食品などは、保存料や化学物質の味がしますが、日本のものは、まるで今作られたかのようにフレッシュで、とても美味しいです。スーパーの棚から何でも買えるというのはとても便利なことです。また、商品が高品質でもあります。たとえ安価であっても、日本では良い品質のものが手に入ります。それは他の国では全く普通ではありません。品質管理がとても良くなされていますし、そうでなければ日本では受け入れられないでしょう。

日本滞在中、日本の懐石料理を食べてみていかが思われましたか?

とても興味があったのですが、その伝統的な食べ方を理解するには、しばらく時間がかかりました。私は日本のあらゆる種類の食べ物が大好きです。けれど実を言うとは、私たち夫婦はとても偏食で、日本に限らず、食べない物が多く、数種類の魚介類しか食べませんし、鴨肉、うなぎも食べません。

菜食主義と言っていいでしょうか。野菜は大好きですので、どんな種類の野菜でもいただきます。特に日本のカボチャが大好きです。エジプトには普通のバターナッツやオレンジ色のカボチャのみで、日本の様なカボチャはありません。帰国したら、それがすごく寂しいですね。また、さつまいもの味がとてもよく、さつまいもを食べるのも大好きでした。

日本のカボチャは甘く、さつまいも好きな私はさつまいものようだと思いました。エジプトでは、冬になるとさつまいもをたくさん食べます。街の通りには小さな粘土でできたオーブンを積んだ木製のカートが走っていて、この粘土のオーブンの中で焼き芋を作って売っています。ちょうど、日本のディスカウントショップの入り口で売っているような焼き芋です。

日本にも焼き芋売りが来ますね。

エジプトと日本にも食の共通点がありますね。今でもカイロでは、ダウンタウンに行けば、そんな焼き芋売りを見かけることがあります。とても安価で、私も街で見かけると、買いに行くことがあります、小さなご褒美ですね。以前は栗も売っていましたが、今はあまり栗を食べなくなりましたね。冬になるとスーパーで売っていることもありますが、エジプトでは、栗は日本ほど見かけなくなりました。

駐日エジプト特命全権大使夫人
駐日エジプト特命全権大使夫人

最後に、お別れレセプションの際、大使は大使夫人に大変感謝していると仰りました。大使である夫を支える上で、どのような気配りをなさっていらっしゃいますか。また、これからの日本との交流はいかがでしょうか。

自分の国を代表して、さまざまな文化や文明に接することが大好きです。それは仕事ではなく、情熱です。エジプトの文化の様々な側面を他国、文化、文明に示すことも楽しんでいます。日本とエジプトは共に多様性に溢れる国なので、文化の紹介が出来たことは最も素晴らしいことでした。

日本とエジプトは全く違う国ですが、日本の人々に私の文化を共有し伝えることは、ヨーロッパで行うよりもさらに豊かなものになったと思います。ヨーロッパは、地理的にも文化的にもとても近く、実際にカイロにお越しいただき、私が話していたことを実際に見てもらうことも簡単です。しかし日本からではそう簡単にはいきません。日本人の多くがエジプトに魅了されていてる事を知り、日本に来たばかりの私は、それがとても美しく感じました。日本人は本当にエジプトに興味を持ち、エジプトの歴史や文化を愛していることが伝わってきたからです。

私は日本で素晴らしい友人に恵まれ、美しい国と素晴らしい人々に出会いました。いつも親切にしてくださり、とても温かく感じました。その友情は帰国しても続いていきますし、いつも謙虚な気持ちでお応えし、出来る限り連絡を取り合おうと思っています。

お忙しい中インタビューにご協力頂き、どうもありがとうございました。

インタビュー: 大岩弘子、デイヴィッド・シュナイダー

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