奇跡の展覧会 「古代メキシコ-マヤ、アステカ、テオティワカン」東京国立博物館で開催

今年は日本とメキシコの外交関係樹立135周年になり、そうした長い良好な関係を象徴する様な素晴らしい展覧会が現在、東京国立博物館で開催されている。

メキシコの古代文明が始まったのは紀元前15世紀と考えられている。その後、スペインに侵攻によってマヤ文明が植民地化されるまでの歴史的な「文明」をこの展覧会では見ることができる。

展覧会は以下の4つの章によって構成されている。

第一章:古代メキシコへのいざない

第二章:テオティワカン 神々の都

第三章:マヤ 都市国家の興亡

第四章:アステカ テノチティトランの大神殿

メキシコの古代文明に触れてみて、一概にその感想を述べるのは余りにも難しい。しかし、あえていうのであれば、メキシコの人達は古代から自然に感謝し、神を崇め、自然の恵みによってもたらされる生活を楽しんできたのではないだろうか。

高貴な人々の石像には、豊穣の神とされるトウモロコシ神の姿を感じさせる姿で作られている。実際に、王侯貴族は子供が生まれるとトウモロコシ神に似せるために頭蓋骨を細長くするように矯正されていたらしい。この展覧会のために初めて日本に来た「赤の女王(レイテ・ロハ)」にもその雰囲気が感じられる。

「赤の女王」は、発見されたときに赤い辰砂に覆われていた為、その名前が付けられた。この女性は、おそらく埋葬された状況からも、パカル王の王妃であろうと考えられている。その姿は神々しく、女王の頭はやや細長く表現されている。初めて目にするその姿には畏敬さえも覚える。

また、多くの石偶、石碑、土器なども数多く展示されている。オルメカ様式の石偶はジャガーと人間の姿を併せ持つ。幼児にも見える顔は特徴的だが、とても可愛らしい。球技をする人の土偶は、躍動感にあふれている。食料源を多様な動植物に依存していたテオティワカンでは、そうした生活様式は土偶、土器等にも表れており、鳥形土器は、奇抜なアクセサリーを沢山つけたアヒルの形をしている。きっと古代の人達はこの土器を使うことを楽しんでいたのだろう。

メキシコは今も発展し続けている国であり、ラテンアメリカのリーダーとしての役割も担っている。それはこうした古代文明の優れたDNAを現代メキシコ人も引き継いで、常に自分たちの「文明」を創造し続けているからではないか。是非とも見ていただきたい展覧会だった。

HerseyShiga Globalでは、メルバ·プリーア駐日メキシコ大使のインタビューも掲載。そちらも併せてお読みください。

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