版画家レンブラント:挑戦、継承、インパクト ― オランダのレンブラントハウス美術館との共同企画により国立西洋美術館で開催
1606年、オランダのレイデンで生まれたレンブラントは、オランダ国立美術館に収蔵されている大作《夜警》などでもよく知られる17世紀のバロック絵画を代表する大作家だ。しかし、レンブラントはバロック絵画の巨匠であるだけでなく、版画制作においても様々な試みに挑んだ芸術家である。

この展覧会では、キュレーションの骨子にレンブラントの版画制作における様々な挑戦と、その挑戦がのちの世界にも継承され、時代をこえた芸術にインパクトを与えていたことを示す企画だ。
その一つがエッチングの手法ではないか。17世紀のオランダでは版画の手法に劇的かつ歴史的な転換期を迎えていた。それまでのエッチングの手法は直線優位であり、規則正しくはあるが、どちらかといえば単調な表現が基本であった。しかし、この時代にレンブラントも取り組んだのは、銅板を用いて原版を作る過程で、金属を腐食させる手法だ。この伝統を逸脱した手法によって、作家はより自由な表現ができるようになり、さらにそうした表現を試みるムーブメントが起きてくる。もちろんレンブラントもその動きに参入し、やがてはエッチングの手法の先駆者、牽引者として更なる可能性を開くに至っている。
レンブラントのこうした野心的とも言える制作の姿勢は、エッチングの在り方を変容させていき、同時代の作家にも、さらに後世の作家たちにも大きな影響を与えていく。
レンブラントは原版の数からも生涯で314点の作品を残したと言われている。その作品数は、当時としては異例とも言えるほど多い。当時、レンブラントが生きたオランダでは、エッチングを手掛けていた作家は、生涯の中で数点の作品を制作する程度であった。その点から見てもレンブラントがいかに版画制作に改革を行い、また先駆者であったかも理解できる。

この展覧会は3つの章から成り立っている。第一章は「レンブラント、版画への挑戦」と題され、レンブラントの版画制作に焦点を当てている。第一章はさらに「1.1 肖像と頭部習作」、「1.2 社会的周縁者と庶民たち」、「1.3 宗教主題」、「1.4 銅板上のスケッチ」、「1.5 風景」という5つのセクションに分けられ、レンブラントが目を向けていた主題もよくわかる。


続く、第二章、第三章では、同時代、それから後世の作家たちによる構成とインパクトをみていく。その美術史的な繋がりは非常に長く、レンブラントの時代から、現代にまでも続いていく。
今回の展覧会には約130点が出展されている。レンブラントハウス美術館の所蔵品が主となっているが、国内外の美術館・図書館、海外の個人コレクターから借用した作品や資料も含まれ、とても貴重な展覧会となっている。
17世紀を代表する画家レンブラントは、エッチングの世界にも改革を起こし、様々なテーマに取り組み、さらに銅板をスケッチのように使うこともあった。レンブラントの挑戦によってエッチングの手法には改革が起こり、自由な表現ができるようになった。さらには、そのインパクトはあらゆる世代に継承され、現代にもなお息づいていることを感じることができる展覧会だった。
会期:2026年7月7日[火]-9月23日[水・祝]
会場:国立西洋美術館 企画展示室
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)
公式サイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026rembrandt.html
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