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Tokyo Gendai パシフィコ横浜で初開催 好調なスタートを切る

アジアを中心にアートフェアを開催している「The Art Assembly」が日本に進出し、パシフィコ横浜で初開催をした「Tokyo Gendai」は、世界的水準を満たしたアートフェアとして好調なスタートを切った。 7月6日(木)のVIPプレビューを始め、7月7日(金)から7月9日(日)まで、現代アートシーンを牽引する世界的なギャラリーが集まり、現代アートを代表する巨匠の作品から、新進気鋭のアーティストの作品までを幅広く紹介した。前評判の高さもあり、6日のVIPプレビューには、河野太郎デジタル大臣を始め、ラーム・エマニュエル駐日米国大使夫妻、駐日エチオピア次期大使などの外交官、香港の有名俳優なども訪問している。 スポンサーにはアートに重点を置いたSMBCグループがプリンシパル・パートナーとなった。その他にも世界的なブランドが名前を連ね、豪華な雰囲気を出していた。 優秀なギャラリーが集まった結果として、非常に見ごたえのある展示であった。また、各スポンサーが展開したカフェなども水準が高く、アートを鑑賞する時間としてもとても楽しめた。メディアカフェという試みも意味が大きい。しかし、アートフェアとしてギャラリーが実際にアート作品を販売することについては、どのように盛り上がったかは未知数でもあった。 しかし、「Tokyo Gendai」の開催によって、新たに現代アートへの注目が集まり、ファンが確実に増えていったことは大きな功績に確実に繋がっている。投資として現代アートの購入も注目されている今、SMBCグループがプリンシパル・パートナーとなっていることも意味は深い。 初回は大成功だったと思える。第二回、第三回と「Tokyo Gendai」が活躍を続けていくにより、社会も人々の考えも変化していくことだろう。投資としても身近な楽しみとしても、現代アートが日本に深く根付くことを願う。 【関連記事】

蔡國強の大規模個展「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」

「〈原初火球〉—それは私の思想とビジョンに基づく出発であり、今日まで私に付き添ってきた。」 2008年の北京オリンピック開会式での「大脚印ービッグフット」と言う着想に基づく花火プロジェクトでも知られる中国出身の世界的アーティスト、蔡國強。この度、国立新美術館とサンローランの共催により、大規模な蔡の個展が開催されている。 蔡はこの展覧会について「自らを省みる展覧会」と語る。大きな会場全体が蔡國強の意図するインスタレーションのような空間となっていることを鑑賞する人は必ず感じることだろう。この展覧会は、蔡國強が過ごしてきた主として3つのあゆみを辿っている。その三つのあゆみとは、中国で作家として歩みだした時期、芸術家として重要な形成期を過ごした日本、アメリカや世界を舞台に活躍する現在までだ。 展示も歩んできた旅路を辿るようであり、日本初公開のガラス、鏡に焼き付けた新作、その他、貴重な記録映像なども公開され、彼の芸術家としての姿を間近に見ることもできる。火薬がもたらす何かにフォーカスした作品、世界の注目を浴びた爆発イベント《スカイラダー》の記録画像など、蔡の今までも優れた作品を改めて鑑賞すると同時に、蔡が探求し続けているAIなどを使った作品も紹介されている。 本展の開幕に先立って、かつて蔡が長い時間を過ごした福島県いわき市では白天花火《満天の桜が咲く日》も開催された。展覧会の終盤の展示では、蔡が過ごしたいわき市での日々、人々との交流も観ることができる。改めて、蔡は日本で芸術家として大きく成長したことが分かる。 多彩な作品群に触れつつ、蔡國強が抱く壮大な世界観を是非とも感じてほしい。

エストニア大使、大きな成果を残して離任へ

2018年に着任したヴァイノ・レイナルト駐日エストニア大使が2023年7月に離任することになった。7月5日に白金の八芳園で開催されたフェアウェル・レセプションには、幅広い大使夫妻のお付き合いを示すかのように、多彩な業界から多くの人々が集まった。 5年間に亘るレイナルト大使の任期中には新型コロナウィルス感染拡大が起こり、多方面で活動が制限された。しかし、その間にもエストニアは世界のIT大国として日本で多くの注目を浴びていた。このレセプションにも、平井卓也初代デジタル大臣が出席し、乾杯の音頭を取った。 IT関連に続いて、文化面でもエストニアはその知名度を上げてきている。エストニア発のおしゃれでファッショナブルなファッション、雑貨なども百貨店などでのポップアップショップ開催などを通じて多く紹介され、大人気を得ている。また、エストニア、バルト三国にフォーカスをあてた料理本も人気が高い。 レイナルト大使とカイレ・ユルゲンソン夫人は日本に続いてトルコに駐在することも発表された。また、日本語が上手なアルゴ・カングロ公使参事官の離任も同時に発表された。 距離的に離れてしまうが、これからもデジタル、ITを駆使してレイナルト大使夫妻、カングロ公使参事官とは連絡を取り合いたい。今後も両国がより親しく、共に発展していくことを願ってレセプションは幕を閉じた。

現代アートは楽しい!「Tokyo Gendai」2023年7月に開催

現代アートは難しい、わからないという人が多いが、実際に見てみると実に楽しい。 現代アートを思いっきり楽しめるアートフェア「Tokyo Gendai」がこの夏、開催される。 「Tokyo Gendai」は、アジア太平洋州を中心に、アートフェアを開催してきた「The Art Assembly」が企画、開催する。「India Art Fair」(インド)、「台北當代 (TAIPEI DANGDAI)」(台湾)、「Sydney Contemporary」(オーストラリア)、「PHOTOFAIRS Shanghai」(中国)、「ART SG」(シンガポール)などに続く6番目の大規模なアートフェアとなる。 今まで開催してきたアートフェアにおいても、最先端の美術に鋭い目を持つ美術関係者、コレクターを虜にしてきた。商業的な交流の場であるとともに、アーティストにとってもとてもクリエイティブな場となっている。 「Tokyo Gendai」の開催における取組みは、世界的に著名なアーティストの作品と同時に、比較的キャリアの浅いアーティストの作品も展示し、アーティストを支援し、その才能を伸ばしていこうとすることではないか。 その構成は4つのセクションに分かれており、それぞれにテーマを持って展開されている。 Galleries 展示のクオリティが高く、ギャラリーを代表するアーティストの作品を紹介。 Hana(花) 新人または中堅の…

完成の時期が視野に収まってきた「未完の聖堂」とは?『ガウディとサグラダ・ファミリア展』開幕

スペインが生んだ建築家アントニ・ガウディ(1852~1926)。バルセロナで建築を学んだガウディは大学卒業直後からその頭角を現す。 カウディは多くの名建築を残しているが、やはり一番有名なのはサグラダ・ファミリア聖堂だろう。1882年に始まったこの聖堂建築では、ガウディは二代目の建築家であった。 ガウディにとって、この未完の聖堂は設計建築だけでなく、資金調達にまで奔走し、晩年はすべての仕事を断ってサグラダ・ファミリア聖堂竣工を目指す。しかし、その完成を見るまでもなく、ガウディは段差につまずいて転倒し、そこに通りかかった市電に轢かれて命を落とす。 この展覧会は以下の章から構成されている。 第1章「ガウディとその時代」。若き日のガウディの軌跡を追う。 第2章は、「ガウディの創造の源泉」。ガウディは「人は創造しない。人は発見し、その発見から出発する」という言葉を残した。「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから、ガウディ独自の建築様式の源泉とその展開を辿る。 第3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」はこの展覧会のメインとなっている。 現在ではサグラダ・ファミリア聖堂といえばガウディだが、実はガウディは二代目の建築家に当たる。最初は宗教関連の出版などを手掛けるジュゼップ・マリア・ブカベーリャが「貧しい人々のための大聖堂」として提案した。1882年に着工した時は、ビリャールが初代設計者に就任した。ガウディはそのポジションを翌年に引き継いだ。すでに地下聖堂は完成間近だったが、ガウディは大幅に設計を変更している。 その後、ガウディはこのサグラダ・ファミリア聖堂の建築を一生の仕事とし、資金集めも行いながら完成を目指した。しかし前述のような不幸にあって、この世を去ることになる。 しかし、その後は外尾悦郎をはじめとする優秀な人々にその意思は引き継がれ、2026年にイエスの塔の竣工が予定されるまでに建設作業が進んだ。 スペインは昔から「100年に一度、桁外れの天才を生み出す」と言われる。ベラスケス、ゴヤ、ピカソ、そしてガウディがその代表と考えられる。第4章「ガウディの遺伝子」では、ガウディがその後の建築と建築家に与えた影響も紹介されている。その中には伊東豊雄、磯崎新などの、日本人建築家の名前と作品も見られる。 完成の時期が視野に収まってきたサグラダ・ファミリア聖堂。その竣工前に見ておきたい展覧会だった。