世界の銘酒、マデイラ・ワインを味わう:知られざる銘酒の魅力に触れる
ポルトガルのお酒といえば、間違いなくマデイラ・ワインがあげられる。シェリーやポートワインと並ぶ世界3大酒精強化酒の1つとしても知られるマデイラ・ワインは、多彩な魅力を持っている。そのマデイラ・ワインを本場、ポルトガル料理と合わせて深く味わう会が、駐日ポルトガル大使館、ジルベルト・ジェロニム駐日大使、埼玉で冠婚葬祭業、レストラン経営などを広く展開する株式会社セレモニー(代表取締役社長 志賀司)と日本にマデイラ・ワインの魅力を伝えるマデイラ・ジャパン株式会社(代表取締役社長 稗田千尋)らの協力により、駐日ポルトガル大使公邸で開催された。

このイベントには、日本でマデイラ・ワインの取り扱いを担う4社(マデイラ・ジャパン株式会社、木下インターナショナル株式会社、アデカ株式会社、日本酒類販売株式会社)が参加し、日本市場で販売している代表的なマデイラ・ワイン・ブランドを6件、紹介した。また、銀座にあるマデイラ・ワイン専門バー「マデイラ・エントラーダ(Madeira Entrada)」も本イベントに協力した。
これらの輸入業者、マデイラ・ワインの専門バーは、その製品を宣伝するにとどまらず、マデイラ・ワインの背後にある豊かな歴史、伝統、文化遺産を伝えることで日本の消費者にマデイラ・ワインを紹介する重要な役割を担っている。熱心なマデイラ・ワインの紹介により、日本におけるマデイラ・ワインの認知度は高まりつつあり、専門業者の存在感はさらに強固なものとなり、マデイラ・ワインの普及への原動力となっている。
このイベントの参加者は、それぞれの企業、専門バーなどの担当者と直接対話する機会にも恵まれた。それぞれが取り扱っているマデイラ・ワインについて詳しく学び、試飲をすることによって、それぞれのブランドが持つ特徴に触れることができた。こうした交流は直に日本の消費者にマデイラ・ワインの魅力を伝えることに役立ち、マデイラ・ワインそのものへの理解を深め、マデイラ・ワインとその独自の文化的アイデンティティを再発見する貴重な機会となった。

当夜は、マデイラ・ワインの紹介には欠かせない二つのセッションにより構成されていた。第一部は「マデイラ・ワイン」に焦点を当て、認定マデイラ・ワイン・エデュケーターでもある稗田千尋氏がマデイラ・ワインの魅力、その特徴、歴史的背景、伝統について詳細な解説をした。第二部では、ポルトガル政府観光局(Turismo de Portugal)の高岡千津氏が観光地としての「マデイラ諸島」を紹介した。参加者は、マデイラ島のもつ美しい景観、文化、多様な特産品などの紹介にも聞き入った。
マデイラ・ワインを産出しているマデイラ島は、ポルトガルの首都リスボンから南西に1000キロも離れた北大西洋の沖に浮かぶ小さな島であり、ポルトガルよりもモロッコに近い。ポルトガル出身の世界最高のサッカー選手の一人、クリスティアーノ・ロナウドの出身地としても知られる。

マデイラ島は、海と山、輝く太陽に恵まれ、一年中、花が咲き、果物もおいしく、街並みも美しい。ポルトガル屈指、いや、ヨーロッパ屈指のリゾートアイランドとして知られ、多くの旅行者を魅了してきている。マデイラ島の大きさは日本の奄美大島とほぼ同じであるが、その島の気候は地域によって非常に異なる。南側では常夏の花が咲き、北側では標高の高い場所では雪が降ることもあるという。この変化にとんだ気候によって、古くからマデイラ島では良質のワインが作られてきた。

17世紀の大航海時代、マデイラ島で作られたワインは、赤道を横切らなければならなかった。この暑い地域を渡っていくことはつまり、ワインにとっては大敵である酸化がなされてしまう。しかしその大敵であるはずの酸化が偶然、マデイラ・ワインに独特の風味をもたらした。これが世界の銘酒といわれるマデイラ・ワインが誕生するきっかけとなった。
その後、18世紀前半には、貯蔵効率を上げ、保存性を高めるため、ワイン造りのプロセスに工夫が凝らされることになった。それはワインの一部を蒸留しておき、それを残りのワインに加えるというプロセスだ。酒精強化というこのプロセスによって、マデイラ・ワインはより深い味わいを持つようになった。以来、この酒精強化はマデイラ・ワイン造りに欠かせないものとなる。現在は、ブドウの発酵後に96%という高いアルコール度数のブランデーを加えて保存性を高め、17度~22度にアルコール度数を保つことが必須となっている。

その後、マデイラ・ワインは飢饉・フィロキセラ・アメリカ(ブドウネアブラムシ)の発生と禁酒法の影響によりマーケットが消失、その代わりに料理に使われるワインとして世界に広まっていった。
マデイラの原料となる主なブドウ品種は、マデイラ島の変化にとんだ気候にも大きく影響を受けている。主として白ブドウがセルシアル、ヴェルデーリョ、ブアル、マルヴァジア、テランテス、黒ブドウはティンタ・ネグラで、個々のブドウ品種の個性を生かし、辛口から甘口まで数多くの味わいを持つマデイラ・ワインが作られている。
ポルトガル大使公邸で開催されたマデイラ・ワインを味わう会では、伝統のポルトガル料理が提供され、多彩なマデイラ・ワインが用意された。乾杯には、中辛口のマデイラ・ワインをトニックウォーターで割ったさわやかな味わいの飲み物が提供され、参加者の食欲をそそる。その後は、ポルトガル料理に合わせて辛口、やや辛口のワインを選び、デザートには甘口のワインを楽しむなど、各自がマデイラ・ワインの魅力を味わった。

マデイラ・ワインは酒精強化がなされているため、長期保存も可能だ。そのため、自分の生まれた年のマデイラ・ワインを味わうこともできるという。これはワイン好きにはたまらない趣向ではないか。
マデイラ・ワインを飲むときには一つだけ十分注意しなければならないことがある。口当たりがよく、おいしいマデイラ・ワインは、ついたくさん飲んでしまう。しかし、マデイラ・ワインは酒精強化ワインであり、普通のワインよりもアルコール度数も高い。この夜もマデイラ・ワインの魅力に取りつかれた参加者たちの赤い顔が印象的であった。マデイラ・ワインは、ぜひとも一度、味わってもらいたい世界の銘酒だ。
株式会社セレモニー
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