Author: Hersey Shiga

Editorial Team
  • アルジェリア料理を楽しむ〜大使夫人のランチ〜

    駐日アルジェリア大使館のラルビ・カティ大使とファヒマ夫人は公的な外交に加え、民間を交えた草の根の交流にも大変積極的だ。12月には日本の子供達と日本に滞在しているアフリカの子供達を大使公邸に招待し、日本中近東アフリカ婦人会(通称NCAF、会長:小池那智子)、児童合唱・リトミックの「どんぐりのド」とのコラボによってとても楽しい音楽イベントも開催した。 この度は、昨年度にアルジェリア大使夫妻と共に活動をした日本中近東アフリカ婦人会のメンバーたちがファヒマ夫人のご厚意で大使公邸に招待され、本格的なアルジェリア料理のランチを楽しんだ。 アルジェリア料理と言えばクスクスが思い浮かぶ人も多いだろう。アルジェリア大使館で出されるクスクスは「日本で一番おいしい」という評判を得ている。ここにはアルジェリア料理を本国そのままに作るベテランのシェフもいる。そこで大使にお願いしてシェフにそのレシピを紹介していただいたこともある。 この度はお料理が大好きというファヒマ夫人が選んだメニューとなった。もちろんその極上のクスクスも入っていた。ラムを上品に煮込んだクスクスはアルジェリアを含む北アフリカ、アラブを代表する味だ。さらにこのランチで参加者がそのおいしさに注目したのは、Rechta (リシタゥ)と呼ばれる料理だった。 リシタゥというこの料理の名前はペルシャ語で「糸」を意味するリスタに由来する。日本では知られていないが、アルジェリア料理を象徴する一品だ。本国ではお祭り、婚約、結婚式などのお祝いの際によく提供されるという。 材料は細く平たいパスタ、チキン、ひよこ豆、カブ、ズッキーニで、さらにカブとシナモン風味のチキンが入ったソースをかけていただく。薄めの塩味がおいしく、「これで二杯目!」という声も多く聞かれたほど人気だった。 美味しい物を囲んでの異文化交流ほど楽しいものはない。日本中近東アフリカ婦人会には、夫の転勤などに伴って中近東アフリカに滞在した経験を持つ婦人、その文化に興味を持つ人々などもメンバーになっている。ファヒマ夫人と共通の「お料理の話題」などで盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができた。 なお、ファヒマ夫人は得意の料理の腕を活かして、鎌倉でもアルジェリア料理の講習会を開くという。中近東アフリカ婦人会も本場のお料理を学ぶ機会を設けている。その試みは長く続けられており、大使館関係の婦人たちの協力を得て料理集も2冊編集、出版、販売している。直近ではエチオピアコーヒーのセレモニーを学ぶ機会も設けている。 日本中近東アフリカ婦人会は今年10月に久々にホテルで大きなバザーの開催も予定しており、コロナ禍をぬけてますますその活動は面白くなっている。 【関連記事】

  • 勝ち組になろう!ジャマイカ大使館、勝ち豆 ジャマイカ ブルーマウンテンコーヒーの日を祝う

    2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、2月4日の節分には恵方巻を食すなど、日本には食を交えた「おいしい記念日」がある。次にブームが来るのは1月9日の勝ち豆「ジャマイカ・ブルーマウンテン・コーヒーの日」ではないだろうか。 1月は入試直前でもあり、「勝ち」という言葉は受験生の励みにもなる。厳しい受験勉強の合間にも、香り豊かなブルーマウンテンコーヒーを飲んで、「勝ち組」となることを願い、あらたにモチベーションアップにも繋がる。では、なぜブルーマウンテンコーヒー豆は「勝ち豆」と呼ばれるのだろうか。それは、この最高級と言われるコーヒー豆が潜り抜けてくる過酷な環境とそれに耐える逞しさ、強さにある。 ジャマイカが世界に誇るブルーマウンテンコーヒーの歴史は1723年に、ルイ15世がフランス領マルティニークに3本のコーヒーの木を贈ったことに始まる。その5年後に当時イギリスの統治下にあったジャマイカ総督は、マルティニーク総督から1本のコーヒーの木を譲り受ける。それがジャマイカコーヒーの歴史の始まりとなった。 ジャマイカの首都キングストンに近く、世界遺産にも登録されているブルーマウンテン地区には特有の気候があるが、それは決して温暖と言える気候ではない。毎年襲い来るハリケーンをはじめとする過酷な自然災害にさらされ、ブルーマウンテンの木々はそれに打ち勝っていく。そうして実ったコーヒーは収穫され、さらに厳しい品質検査を乗り越えていくことになる。出荷されるのは「試練に打ち勝った勝ち豆」だけだ。これがブルーマウンテンが「勝ち豆」と呼ばれる所以だ。 1967年1月9日、この日はジャマイカのコーヒー関係者にとって忘れられない日となった。「勝ち豆」ブルーマウンテンの最大量を載せた船は、今を遡ること55年前のこの日に、初めて日本に向けてキングストンの港から出航した。そこからジャマイカと日本を繋げる「民間大使」として、ブルーマウンテンコーヒーは大きな役割を果たしている。 2020年に着任した現在のショーナ-ケイ・リチャーズ駐日ジャマイカ大使は、この「ジャマイカ ブルーマウンテンコーヒーの日」をとても大切にしている。コロナ禍が幾分落ち着いた今年、リチャーズ大使は、ジャマイカ国旗にある3つの色とその意味を意識した大振袖を着用し、コーヒー及び観光業関係者をもてなした。黒地の大振袖にゴールドの袋帯、グリーンの帯留と帯揚げといういでたちは、力強く想像的な人々(黒)、太陽の光と活気(ゴールド)、天然資源に恵まれた土地(グリーン)を意味する。 女性の第一礼装である大振袖の着用は、日本人にとっても決して楽なものではない。しかし、リチャーズ大使は日本の礼儀に則り、日本式に髪を結い、大振袖を着用し、日本のマナーによって人々を迎えた。この心使いに、ジャマイカが持つホスピタリティを感じる関係者は多く、さらには「来年の着物はきっとグリーンに違いない」という憶測まで飛んだ。 また、今年は海外渡航も緩和されたことがあり、ジャマイカの観光についても紹介された。ユネスコ創造都市ネットワークの加盟都市キングストンはまた、豊かな文化を持ち、音楽はボブ・マーリー、美術では彫刻家・画家のマリカ・レイノルズ、美術の母といわれたエドナ・マンリーに代表されるように、文化も豊かだ。また、リチャーズ大使の毎年のおもてなしの心にも見られるように、ジャマイカの人々は心優しく、海外からの旅行者を歓迎している。 ブルーマウンテンコーヒーを飲んで遠いジャマイカへ思いを馳せ、がんばった自分へのご褒美としてこの美しい国を訪れてみたい。 【関連記事】

  • Ambassador Roxane de Bilderling, Discusses the Importance of Sustainability, the Empowerment of Women, LGBTQ Rights and Cultural Practices Post-Covid-19

    In this interview, the Ambassador of Belgium to Japan, Roxane de Bilderling, discusses the importance of maintaining strong cultural ties between Belgium…

  • ポストコロナのツーリズムとは?『太平洋同盟Alianza del Pacíficoによる観光振興』

    この度、2023年度の活発なツーリズムへの誘致を目的としたセミナーがペルー大使館で開催された。参加したペルー、メキシコ、コロンビア、チリの4か国は太平洋同盟(Alianza del Pacífico)を構成している。 太平洋同盟は3つの「統合の力」を発揮することを目的としている。その3つとは、 2011年に太平洋同盟が構成されて以来、外国投資誘致、ビジネス振興においては競争力のある様々な優位性を提供することができている。その結果として、この同盟に参加している4か国は、ラテンアメリカ及びカリブ地域において重要な地位を確立してきた。経済的競争力がある国々としてゆるぎない評価を得てもいる。そうした評価もあり、太平洋同盟加盟国はすでに世界80カ国以上と協定を締結し、アグリビジネス、製造業、鉱業、サービス業などを含む各分野のモノとサービスの輸出において世界的にも高い割合を示すようになった。 そうした国家を超えた発展を可能とした太平洋同盟加盟国は、ビジネスの活性化とさらには雇用の創出を可能としてきた。 コロナ禍がやや収まった現在、人々の注目はラテンアメリカおよびカリブ諸国への旅行に向かっていることは確かだ。太平洋同盟では日本におけるラテンアメリカ諸国およびカリブ地域への観光客の誘致を重視しており、航空会社、旅行社などとコラボしながら、日本からのツーリストの本格的な誘致に乗り出してきている。 太平洋同盟に加盟している国々には、魅力的な観光資源が多い。人々に感動をもたらすツーリズムに適した都市、自然、食、体験が満載だ。メキシコには、アステカ帝国の都でもあり、あらゆる時代を今もまだ感じることのできるメキシコ・シティがある。また、そのわずか50キロ北にはテオティワカン遺跡があり、観光には非常にアクセスがいい。この遺跡もまた世界遺産にも登録されている。コロンビアは大自然に恵まれ、多種多様な野鳥、昆虫の生態、蘭などの鑑賞ができる。首都メデジンには世界的に有名な画家、ボテロが制作した彫像が点在する公園、メデジン・カテドラルなどがあり、観光客には見逃せない地域だ。ペルーに至っては世界のツーリストの憧れとも言えるマチュピチュ遺跡、ナスカの地上絵などが存在し、世界のツーリストの憧れの地でもある。また、日本へのおいしい食品の輸出で知られるチリに代表されるように、極上のワインの産地でもあり、海の幸もおいしく、食事への期待は大きい。 こうした観光資源を最大限に活かすため、日本からよりアクセスしやすいよう、フライトの増便、航空便の接続などにも最大限の配慮が示されている。確かにラテンアメリカ、カリブ地域には今迄は遠いというイメージが先行してきた。しかし、その魅力を知れば、誰もが訪れてみたい地域だ。 外国投資の直接誘致において、ある程度の成功を収めつつある太平洋同盟が次に目指すものは、日本を含むアジアからのツーリズムの誘致だ。また、日本もまた、今迄訪れることが少なかったラテンの国々への旅に大きな期待を持っている。ラテンアメリカおよびカリブ地域については、日本人は「地球の反対側」という表現をしてきた。今、新たな体験とツーリズムを求めて、地球の反対側に行く時が来たと言える。 太平洋同盟 Pacific Alliance Alianza del Pacífico についてはこちらから。 【関連記事】

  • 一般社団法人日本ラテンアメリカカリブ振興協会 本当のキューバの魅力を紹介:「カリブ海のリズム〜キューバの魅力〜」

    キューバの歌手カルロス・セスペデスと音楽バンドによる演奏、プロのダンサーによるダンスレッスン (サルサ、ルンバ、チャチャチャ)を楽しもう!駐日キューバ大使館の協力により本場のキューバ料理とお酒を味わうチャンス。キューバの特産品も販売。 日時: 2023 年 2 月 4 日土曜日 12:00-16:00 (開場は午前 11 時 30 分) 場所:〒105-7590 東京都港区海岸 1-7-1  東京ポートシティ竹芝オフィスタワー8F 竹芝ポートスタジオ(竹芝駅徒歩 2 分、浜松町駅徒歩 4 分、大門駅徒歩 5 分) ドレスコード:スマートカジュアル 参加費: 申し込み:下記リンクよりお名前、人数、メールアドレスをご入力の上、お支払い方法をお選び下さい。 https://forms.gle/kUU2w634msrpaH3j8 このイベントで集められた資金の一部はキューバの福祉組織に寄付され、経済的な困難にある人々の教育に使われます。 新型コロナウイルス感染症対策:会場では検温、手指消毒、マスク着用。 新型コロナウイルス感染症による大規模災害や政府による新たな制限措置が発令された場合、イベントは中止。中止の際は、イベントの準備費用と料金の払い戻しにかかる銀行手数料をカバーするために、入場料の半額を払い戻します。 ご質問またはご質問:info@japolac.com まで 主催:一般社団法人日本ラテンアメリカカリブ振興協会(JAPOLAC) 〒104-0045 東京都中央区築地 4-12-2-806 TEL:(日本語) 03-6264-3858 、(英語、スペイン語)03-6264-3859  メール:info@japolac.com  HP: https://japolac.com/jp 協力:駐日キューバ共和国大使館 スポンサー:

  • アフリカと日本の子供たち異文化交流会音楽で広がる友情の輪

    中東、アフリカ諸国の大使館関係者を中心として、異文化交流を続けている日本中近東アフリカ婦人会(NCAF 会長:小池那智子)は、この度、ラルビ·カティ大使及びファヒマ·カティ夫人の全面的な協力の下、アルジェリア大使公邸で児童合唱団「どんぐりのド」と共に、音楽を楽しむ会を開催した。 「どんぐりのド」は、渋谷区西原周辺及び中野区南台周辺の幼児から中学生を中心に活動する児童合唱とリトミックのグル―プとして1999年に設立された。その20年以上に及ぶ歴史において、声を出して歌い、身体で音楽を感じる活動は、子供達の豊かな感性を高めると、とても高く評価されている。 今回のイベントには、アルジェリア、エチオピア、ジンバブエ、マリ等合計6ヵ国、8名のアフリカの子供達が参加した。最初の自己紹介では、「どんぐりのド」の子供達もアフリカ側からの子供達もとても緊張していたが、最初に日本のわらべ歌「じっちゃこばっちゃこ」を一緒に歌い、向かい合って軽快に手拍子をお互いに取る「手遊び」をするうちに、すっかり打ち解けていった。同席してくださった大使ご夫妻も歌と輪に入ってくださり、子供達と一緒に手遊びをして下さった。 「どんぐりのド」のレパートリーは広く、どれもがとても楽しい。「赤い鳥小鳥」                   「七つの子」「靴が鳴る」など日本人なら誰もが知っている名曲が演奏されたが、どれも易しいメロディーであり、アフリカ側の子供達もすぐになじみ、一緒に歌の輪にくわわった。続いて演奏されたのはアフリカの人々の間で広く歌われている「ショショローザ」だ。これはアフリカ側の子どもたちがのびのびと、どんぐりのドの子供達と一緒に歌った。最後は「鬼のパンツ」を振付も交えていっしょに歌った。この曲はイタリアの名曲「フニクリフニクラ」をベースにしており、外国人にもなじみやすい。その振り付けは、パンツをはく動作などのユニークで、どの国の子供達も大喜びだった。アンコールは鳴りやまず、予定時間をすぎても、何度も繰り返して「鬼のパンツ」を子供達は歌い踊った。 演奏を楽しんだ後は、アルジェリア大使夫人によるおやつの時間が準備された。初めていただくアルジェリアのお菓子はとてもおいしく、日本の子供達も大喜びだった。 会が終わったとたんに「今度はいつやるの?」とあどけない瞳を輝かせて聞く子供達も多く、次回の活動への期待は大変大きい。 アフリカ諸国と日本の子供達の交流は、大きな思い出を子供たちの心に残した。こうした楽しい思い出を外国の子供達と持つことは、将来、とても大きな意味を持つのではないか。共に歌を歌い、踊り、手を取った仲間たち。そうした思い出を共有する人々は、将来、お互いに戦うことはない。それこそが音楽の持つ力かもしれない。 今、ウクライナへのロシアの侵略は世界を大きく変えている。それは決してよい方向への変化ではない。平和で、互いを尊重できる世界が我々にとっては理想ではないか。 どんぐりのド、日本中近東アフリカ夫人会とアルジェリア大使夫妻が企画したこの小さな活動は、子供達の心に小さな平和と語らいの芽をもたらしたとも言える。異文化交流が本当に大切な理由とは、将来、互いに理解し、平和を守ることに繋がることだからではないか。 参加者の期待にも応えるべく、次回の活動も是非ともやっていただきたい。