アオザイはベトナムを表す文化|ベトナム、アオザイの美 華麗なファッションショーを東京で開催
このたび、タイ・トゥ・ホン駐日ベトナム大使夫人と駐日ベトナム大使館の尽力により、ベトナムの民族衣装アオザイを紹介するファッションショーが、清水着物学園ホールにおいて開催された。
ベトナムというと、多くの人々がアオザイをまとった女性の姿を思い浮かべる。何世紀にもわたってベトナム女性に引き継がれてきたこの伝統衣装は単なる服ではなく、ベトナムの豊かな文化遺産、民族のアイデンティティを示す存在といえる。
アオザイは身体のラインに優雅に沿った丈の長い仕立ての上衣と、その下にあわせて着用されるゆったりと流れるようなパンツという二つの要素から成り立っている。一般的なアオザイは、高い襟と脇には深いスリットが入っており、こうした要素により、すっきりとした優雅なシルエットが生まれる。

ベトナムではアオザイは伝統的な行事などで重要な役割を果たしてきた。学生の制服として白いアオザイは愛用され、結婚式では着用される赤いアオザイは花嫁を彩り、祭りでも女性たちは鮮やかな色のアオザイを身に着ける。さらには伝統的な儀式では男性が着用することもある。
伝統衣装として愛されてきたアオザイは、古きベトナムの趣が息づいている一方、時代と共に新たな変化も取り入れてきている。今日では世界中のトップデザイナーがアオザイを新たな視点で見つめ、新しい色彩や素材、デザインを取り入れ、新たなアオザイの魅力を引き出し、国際的な舞台でも発表している。
こうした変化を遂げながらもアオザイは今なおその文化的なルーツを守り、文化遺産を象徴する存在だ。

今回のファッションショーでは、アオザイには地域によってかなりの違いがあることも、また着用する行事などによって色彩が変化することなども詳細に紹介された。
ベトナムは細長い国土で南部と北部ではかなり気候も違い、文化にも違いがある。北部で着用される民族衣装はアオ・トゥー・タンと呼ばれ、控えめな印象を与える。
中部に行くと、その地に宮廷が存在した影響から、フエ宮廷の影響を受けたアオザイが着用される。このアオザイは荘厳で気品高くベトナム最後の王朝、阮朝の文化を引き継いだ金襴緞子の華麗な趣を持つ。
南部に行くと、素朴で軽やか、南部水郷地帯の風情を表すようなアオ・バー・バーと呼ばれる衣装が見られる。
その他にも、ベトナム北部山岳地帯に暮らす少数民族・モン族の民族衣装が紹介された。モン族は独自の文化を持ち、その言語と刺繍を施した民族衣装は世界に知られている。
ファッションショーはそうした地域性豊かな民族衣装を紹介するとともに、現代のベトナム女性が実際に身につけるファッションとしてのアオザイも紹介された。
伝統的な手織りの絹で作られたアオザイは今もベトナム女性の憧れだ。ベトナムは手工芸に優れた国でもあり、絹のアオザイには手づくりのビーズが丁寧に手刺繍で施されることもある。
ベトナムの北部は比較的温暖で涼しい気候でもある。様々な気候のベトナムでは、ベルベットを使い、職人が牡丹、竹、梅などの手刺繍を施したアオザイも着られることがある。こうした豪華なアオザイは、何世代にもわたって受け継がれていく。
アオザイというと、身体にぴったりとした印象を受けるが、モダンなデザインではストレートなシルエットのアオザイが人気を呼んでいる。身体に密着せずに動きやすく快適なアオザイは働く女性にも人気があるのだろう。現代的なアオザイはまた、現代アートの模様をそのデザインに取り入れるなどしている。また、より革新的なアオザイとしては、アオザイの細部をアレンジし、パフスリーブ、オフショルダー、裾は短く膝丈に、モダンなワイドパンツとの組み合わせ等、西洋のドレスファッションとの融合を見せている。
伝統的なデザインにとらわれず、進化をしながらもいつもベトナム女性を表現するアオザイ。民族衣装という枠を超えて、ベトナムの文化として根付いていることがよくわかった。
このファッションショーでは、駐日ベトナム大使館のスタッフ、ご家族、在日ベトナム人の協力により、ベトナムの新年を祝う踊りなども披露された。
ベトナム大使館の子ども達が一生懸命踊る姿に観客はとても癒され、ベトナムの文化に触れる喜びを感じ取った素晴らしいファッションショーだった。
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