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チリ日本国交樹立125周年記念レセプション開催

太平洋を挟んだ隣国との長く、深く、おいしい友好を祝う 2022年、チリと日本は、国交樹立125周年を迎え、11月4日にはホテルニューオータニで盛大な記念レセプションが開催された。 この記念すべき式典は、三鷹市第二中学校合唱部による両国の国歌斉唱によって開始された。高円宮親王妃久子殿下のお成り、西村明宏環境大臣の祝辞、武井俊輔外務副大臣、秋本真利外務大臣政務官ら、多くの国会議員の顔もみられ、チリと日本の関係がいかに良い関係であるかが深く感じられた。 チリと日本はともに南北に細長い地形を持つ国であり、山と海に恵まれている。確かに地理的には遠いが、日本にとってチリは太平洋という大きな海を挟んだ隣国にもなる。その隣国チリとの交流の歴史は125周年という年月以上に長く、その交流の第一歩は1885年に始まったとされるチリへの日本人の移民にも遡ることができる。 冒頭、リカルド G. ロハス駐日チリ特命全権大使によるスピーチは大変印象的であった。ワイン、サーモン、果物など、日本の食卓を彩るチリ産の食材については、日本人なら誰もが知り得ることだ。日本中、どの地域のスーパーマーケットに行っても、多くのチリ産の食材が売られている。チリからの冷凍鮭、鱒、ウニの日本への輸出高は世界一位であり、チリ産のワインも非常に多く輸出され、日本の「家飲み」には欠かせないアイテムだ。日本食の代表である寿司に必要な多くの食材をチリは支えていると言っても過言ではない。 両国は貿易の活性化のために2007年に経済連携協定を結んでいる。しかし、なによりも重要なことは、チリの産物がおいしく、高品質であり、そのレベルが常に一定に保たれていることだ。 125周年という長い歴史を誇るチリと日本の外交は、民間が支える「おいしい食卓外交」がメインではないだろうか。 このレセプションでも、チリが世界に誇るおいしい食材を使った料理、チリ産ワインが提供された。 よく女性が好きな男性を魅了するには「胃袋を掴む」ことが大切と言われる。日本はどうもチリというラテン美女に「胃袋を掴まれたてしまった」ようだ。 これからもチリ産の食材が日本の食卓を豊かにすることに期待したい。

大相撲オランダ大使館場所開催

日本の国技を知ろう! 日本に駐在する外交官には相撲ファンは多い。しかし、「勝ち負け」だけで、相撲の歴史、美学、様式美などについてはどれだけ知られているのだろうか。 駐日オランダ大使のジョーン·ミッチェル·ファン·デル·フリート夫人は、「日本文化を学ぶ」一環として、EU諸国の大使夫人、関係者を招待し、「相撲を学ぶ会」をオランダ大使公邸と庭を使って開催した。 このイベントに協力したのは、超党派の「大相撲の発展を求める議員連盟」のアドバイザーを務め、自らも力士の経験をもつ永井明らだ。ジョーン夫人のリクエストに応じて、英語で相撲を学ぶ資料を作成し、実技は株式会社シリウスが企画した。 会場となったオランダ大使公邸の内部には、化粧まわし、力士の浴衣、番付表などのアイテムが展示された。ジョーン夫人による英語の相撲プレゼンテーションでは、相撲の歴史から始まり、力士の生活、髪型、服装、親方とおかみさん、食事など、多岐にわたった。 ここで一通り相撲について学んだあとは、庭にでて全員で四股を踏むなどの動作を取り入れた「相撲健康体操」を体験した。 続いては、元力士二人による相撲のぶつかり稽古、真剣勝負が披露された。この迫力には参加した全員が圧倒された。 やはり相撲は実際にとって見なければわからない。そのため、ピーター·ファン·デル·フリート駐日オランダ特命全権大使がクッションの入った「相撲スーツ」をまとい、頭に大銀杏の鬘をかぶって元力士と一線を交えた。その様子は非常に面白く、大使の素敵なユーモアのセンスが光る。ここは文字で説明するよりも、大使のTwitter公式アカウントからぜひご覧いただきたい。 こうしてひと汗かいた後は、相撲部屋直伝の「ちゃんこ鍋」を全員でいただいた。初めて食するちゃんこ鍋はとてもおいしく、楽しく運動した身体にしみわたるようだった。 もう一度ちゃんこ鍋を食べたい、ディナーにまた温めて、、、といったリクエストが出る中、初のオランダ大使館場所は全員の汗と笑顔の中、無事終了した。

Learning about Sumo Wrestling

There are many sumo fans among diplomats posted to Japan. But how much is known about the history, aesthetics, and stylistic beauty…

27年ぶり、モイセーエフバレエ団来日

パリ・オペラ座のエトワールでもあり、ローラン·プティのミューズだったドミニク·カルフーニをはじめとする世界のトップ·バレエダンサーは、モイセーエフバレエを見たことで踊る楽しさに触れ、バレエダンサーを目指したと答えている。 20世紀に、バレエ界は多くの優れた振付師の登場があった。前出のローラン・プティ、モーリス・ベジャール、ジョン・クランコらと並んで、このバレエ団の創設者イーゴリ・モイセーエフも、間違いなく偉大な振付師の一人だ。 1906年生まれのモイセーエフは14歳でバレエを始めた。決して早いスタートではなかったがめきめきと頭角を現し、後にボリショイ・バレエの芸術監督の候補にも挙がる。 モイセーエフが学んだクラシックのバレエには各所にハンガリーのチャルダッシュ、スペインのボレロ、ポーランドのマズルカなどの民族舞踊的要素が取り入れられている。そうしたキャラクターダンスと呼ばれる舞踊はクラシックバレエ界のトップダンサーたちによって、洗練された踊りとして紹介されている。モイセーエフは特にこのキャラクターダンスを愛し、後にロシア各地を歩き、その地で色々な民族舞踊を採取して行ったという。 1936年、当時のソ連各地の舞踊を集めたフェスティバルがモスクワで開催され、翌年、モイセーエフは自らの夢を実現させる。1937年のソ連国立モイセーエフ民族舞踊団の誕生だ。 現在に続くこのバレエ団の面白さは、スターと呼ばれる存在がいないことではないか。クラシックバレエの教育を受けていないダンサーもモイセーエフに才能を評価されればこの民族舞踊団に所属し、アンサンブルの一員となって行く。優れたソリストであっても、そのアンサンブルの中で自らの役割を果たしていく役割となって行く。 今回の日本公演でも、イーゴリ・モイセーエフの精神が今もこのバレエ団には息づいていることを感じることができた。一人もスターはいない。しかし全員がスターなのだ。 その一糸乱れぬアンサンブルは、劇場の5階席から見ても美しい。上から見ても乱れないアンサンブルの美しさが際立っていた。どの踊りも、各地の民族の文化の豊かさを表現し、その地域とその民族への敬意さえも感じられる。見ている観客はアッという間にモイセーエフの世界に引き込まれ、いつのまにか心はロシア各地を旅するようだ。 日本公演でも最後に演じられた「水兵の踊り:艦上の一日、ヤーブロチコは圧巻だった。水兵のセーラー服というシンプルな舞台衣装も、その動きをかえって隠すことなくはっきりと伝えることに役立っている。3人程度の小規模なアンサンブルが繰り返され、最後には全員が一緒になって踊る演出、舞踊は見事としか言いようがない。圧巻だった。 今回の日本公演で演じられた舞踊はすべてモイセーエフ自身の振付によるものだ。月日は流れ、世界は変わって行っても、モイセーエフが目指したものはゆるぎない。

カナダ大使館開催 「グレン・グールド・トリビュート 生誕90年、没後40年を迎えて」

カナダ、トロント出身のグレン・グールドは、史上最高のピアニストの一人であり、カナダが世界に誇る思想家、音楽家でもある。そのグールドが脳卒中でこの世を去ってから今年は40年目となる。もし彼が生きていたら今年は90歳になっていたことだろう。 在日カナダ大使館では命日にあたる10月4日にグールドに縁のあるゲストを招き、トリビュート・イベントを開催した。 グールドは生前、いくつかの特別な「何か」でもかなり注目を集めることになったピアニストでもある。たとえば、バッハの演奏だ。その時に彼が座るピアノの椅子もその一つだ。父親の手作りだという椅子は、とてつもなく低く、背中を丸めなければ鍵盤とのバランスが取れない。その独得の姿勢でのグールドの演奏姿は忘れられない。さらには演奏のときは、鼻歌まで歌っていたことも多々ある。 彼は早期にステージから引退し、新しい自分の世界を録音というそれまではクラシックの音楽家には歓迎されていなかった「ツール」に力を注いでいく。今までいわば瞬間芸であった音楽を、「永遠に残る」という新しい分野に導いていった。また、グールドは柔軟な考えを持っており、今でいうLGBTなどの新しい社会の形を受け入れてきた。今の時代を作る先駆者としても知られている。 グールドとは、音楽の天才である他に、10年、20年先を見ていたのではないか。彼の死後40年を経た今、改めて今を生きるひとびとはすでに40年前に世を去ったこのピアニストの芸術性、人生を高く評価している。 このトリビュート·コンサートでは、グレン・グールドゆかりの人々のトーク、演奏もまたとても素晴らしいものであった。しかし、ここで特筆すべきは、新しいテクノロジー、AIを使って、グールドの演奏を再現してみせたことだ。このAIシステムは、AIと人間の共創の可能性を追求するためにヤマハが取り組んだDear Glennプロジェクトによって開発された。 このプロジェクトによって、グールドが演奏した曲の傾向をもとに、AIが再解釈した演奏が披露された。つづいて、グールドが生前演奏したことがなかったクープラン、テレマン、フィッシャーといった作曲家による小品も演奏された。 最新のテクノロジー、録音技術を好んだ彼は、今、生きていたら、どんな演奏をするのだろうか。カナダ大使館とヤマハのコラボにより、ファンが望んでいた回答の一つが示された素敵なトリビュート・コンサートだった。

ヨーロッパ文芸フェスティバル2022 開催

ヨーロッパ文学の100年 11月22日から27日まで、日本にあるEU諸国の大使館がメインとなって、文芸フェスティバルを都内各地で開催する。 オープニングには、ジャン=エリック・パケ次期駐日欧州連合大使がモデレーターを務め、ベストセラー『人新世の「資本論」』でも注目を浴びる哲学者·思想家斎藤幸平と世界が注目するオランダの思想家ルトガー・ブレグマン(著書:『Humankind 希望の歴史』)が登壇する。このディスカッションのテーマには、我々はいかにして政治への信頼を回復し、資本主義社会の中で民主主義を守ってゆくのか、また、我々の社会に蔓延しつつあるシニシズムにどう立ち向かうのかという二つが選ばれている。 詳細なプログラムは以下の通り: 2022年11月22日(火) 17:30 – 18:30 ライブ配信ありオランダオープニング対談:ルトガー・ブレグマン & 斎藤幸平モデレーター:(次期駐日欧州連合大使) 2022年11月23日(水) 場所:イタリア文化会館12:30 – 13:30 フィンランドミカ・ワルタリ『エジプト人』の翻訳について 14:30 – 15:30 ポーランド」『素粒子、象とピエロギと ─101語のポーランド─』 16:00 – 17:00 イタリアパゾリーニ:映画と文学の間で…